正式名称は「大禮服竝ニ軍人警察官吏等制服著用ノ外帶刀禁止(たいれいふくならびにぐんじんけいさつかんりとうせいふくちゃくようのほかたいとうのきんし)」。長い…(^_^;)。1876年(明治9年)3月の太政官布告。
軍人とか警察官以外は刀を携帯してはいけないという法律。これっていくら明治になったからといって、かつての武士たちにとっては青天の霹靂だったに違いありません。"剣は武士の魂"とまで言われていたものをそう簡単に手放せるものではありません。しかし明治政府は徹底的にこの法令の浸透を図った。
結果的に戦後警察官の帯刀も禁止(「警察官及び消防官服制」(昭和21年勅令))、大礼服でも新憲法発布時に帯刀廃止、軍人もそもそも戦後日本には軍人はいなくなったので当然廃止ってことで、この法令は、1954年(昭和29年)7月1日をもって法令そのものが廃止され、以降は昭和33年発布の銃砲刀剣類所持等取締法に引き継がれ、原則として銃刀の所持は原則として禁止されています。
アメリカオーランドで昨日起きた銃乱射事件、死者50人以上というニュースを見て、ほんと日本ってすごいよなぁと思った次第。
おそらく明治9年の廃刀令を厳格に運用せず、廃刀令そのものが形骸化してしまったり、仮に戦後いくらGHQが牛耳っていたとはいえ、「剣を取り上げることは死ぬのと一緒」くらいの事を言って、銃刀法も施行されていなかったら、今でも巷には銃があふれ、まだ腰に刀を差して歩いていたかもしれない。
要はそういう社会が今のアメリカ。全米ライフル協会が巨大な力で政治家を動かし、銃の廃絶ができない。たかがアメリカの200年程度の歴史やプライドごとき、500年以上の武家社会が刀を捨てる重みに比べたら屁でもありません。
確かに銃が蔓延している社会で身を守る為に銃を持たなければならないという全米ライフル協会の言もわからないではありません。でもそんなことを言っているから、こういう事件が後をたたないこともまた事実。
無法者に銃を持たせないようにするために、自分たちも銃は持たない。もっていいのは警察官と軍人だけという廃刀令のようなものをやっぱりやるべきなんじゃないかと改めて思います。