北森鴻が残した蓮杖那智シリーズの2編「鬼無里」「奇偶論」と、TVドラマ用に北森が作ったA4・1枚のプロットをもとに書かれた表題作「天鬼越」、そして浅野里沙子によって書かれた「祀人形」「補堕落」「偽蜃絵」。
やはり「鬼無里」「奇偶論」は別格に面白い。つくづく早逝が悔やまれます。この2作を世に送り出すために、未完絶筆の「邪馬台」を描き継いだ浅野さんにより創作されての3編の短編は、やはり北森作品とは言えない。
殺人事件と民俗学の謎解きのバランス。完成されたキャラクターが傀儡のようで生き生きとしていない。取ってつけたような解決編。申し訳ないのですが、北森鴻の力量の高さが浮き彫りになってしまった。
短編2作では製本できず、無理やりに創作された浅野版の蓮杖那智シリーズは、二次創作以上の作品になりえなかった。残念です。「邪馬台」ではそれほど違和感は感じなかったのですが、短くても完全創作となると、やっぱりキャラクターを動かしにくかったのかも。
ただ貴重な北森作品を出版することに尽力いただいたのは間違いないし、敢えて批判を恐れずに三作を完全創作された浅野さんには感謝しかありません。
残念ですが、蓮杖那智のフィールドファイル 完、です。

- 作者: 北森鴻,浅野里沙子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/03/27
- メディア: 文庫
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