(物語の中身に触れてますのでご注意ください。)
1週間前に観て、すっかりシンゴジにハマってます。会社帰りに2回目観に行っちゃいました。先週サウンドトラックも買っちゃいました。
新曲は勿論、使われた旧作のBGMも収録。「ゴジラVSメカゴジラ」('93)の伊福部昭の音楽がいいのです。
2回目ともなると、1回目の疾走感は確かに減少しますが、たくさんの台詞、字幕を追う余裕もでき、更にはキャラクターの演技にも目が行き届きます。「シン・ゴジラ」は複数回見るのが正解のようです。しかも円盤になってから自宅のTVで…ではなくできれば大きなスクリーンで。
第2・3形態のおぞましさは、生きた魚が触れない私にとっては、あの生臭い匂いすら画面から漂ってくるようで不快の極みです。もしかして4DXだと生臭い匂いとかしてこないですよね…。
「ゴジラ」第1作公開時、昭和29年はまだ戦争が終わって9年しか経っていない時。ゴジラが侵攻する東京、電車の中で「また疎開、いやねぇ」とBGが話をしますが、"疎開"がまだ生々しく記憶にある頃。更に第5福竜丸の水爆実験被爆がその年の3月にあり、原水爆の恐怖を改めて思い起こしていた時期。架空の巨大生物の物語が単なる絵空事とは思えないほど驚きと恐怖に観客を陥れたに違いありません。
2016年の今、ゴジラを知らない人はいません。30作品のどれかは見ているでしょうし、見ていなかったにしても「あぁ、しっぽが長くて、黒っぽくてごつごつしてギョロ目の2本足で立つ怪獣でしょ」っていうのはわかる。人類の味方か恐怖の対象かは、見た作品によって変わるかも。
今回のゴジラは、そういうゴジラに対する既成概念を悉く壊すことで、第1作の持つ初見の恐怖を見事に観客に与えることに成功していると思う。
庵野監督らしいゴジラの解釈も随所に見られ、これから多くの人がその元ネタ探しに躍起になるに違いありませんw
ゴジラは"King Of Monster"で、今回はその神性を完全生物として位置づけた。そしてラストの凍結したゴジラ姿は神々しくもあり、長い尾の末端から分化しようとしている生物は、ゴジラの断末魔の叫びと同時に種の保存をしようとしているようにも見える。このシーンで「エヴァンゲリオン」や「風の谷のナウシカ」と地続きと考える人も多いけど、そうともとれるしそうじゃないともとれる。結局はいつもの如く庵野監督の頭の中。表現されたもの以外を考察する意味は、こと庵野作品に関しては無駄だと思うし、正直、エヴァで懲りたww 恐らく庵野監督は「シン・ゴジラ」の続編は作らないと思うし、作ってもグダグダになるだけだからやめた方がよい。
とはいえ、「シン・ゴジラ」は劇場に2回も足を運ばせてしまう程度の傑作であることは間違いありません。
お勧めです。