1977年松竹・山田洋次監督。
だいたいDVDの表紙も完全にネタバレな作品なのに、何度見ても最後に涙してしまう。ロードムービーの傑作です。
BS日テレで丁度スタート時間に偶然チャンネルを合わせ、始まったら止まらず最後まで観ちゃいました。
後半、たまたまやっていた検問で、トラブルで仕方なく運転していた勇作(高倉健)が、網走刑務所から出所してきた殺人犯だと知る欽也(武田鉄矢)と朱美(桃井かおり)。
炭鉱で働いていた勇作は、奥さん(倍賞千恵子)の流産で自棄になりちょっとしたはずみで喧嘩をし相手を殺してしまう。懲役中に離婚届を渡すけど、決して奥さんを嫌いになったわけではなくて、殺人犯になった自分なんかを旦那にしてはいけないという配慮から。奥さんはいう「あなたは結婚をする時も離婚をするときも勝手よ」と、泣きながら離婚届を受け取る。。
勇作は、出所後すぐに郵便局に行き、こう手紙に書き送っていた。「もし、まだ自分を待っていてくれるなら、庭にあるこいのぼりを立てるポールに黄色いハンカチを上げてほしい」。欽也と朱美は、勇作と一緒に家のある夕張に向かう。
ここから、画面のほとんどのカットの"黄色"が意図的に(だと思います)配置されます。道路脇の店の看板、電信柱を支えるワイヤーカバー、安全旗、黄色い追い越し禁止のセンターライン。車を止めて道端に生えているタンポポを手折りもてあそぶ健さんというのもなかなかみれないシーン。
徐々に家に近付いていくけど、勇作は前を見ることができない。祈る様に場所を欽也に指示をする。ついに家の近くの銭湯の駐車場に着く。既に観客は画面から黄色いものを探す癖がついている。欽也が「ないなぁ」という背中のむこうに、たくさんの黄色いハンカチがはためいてるのを発見する。この時、映画の登場人物よりも先に発見するカタルシスを感じます。
今から39年も前の作品ですから、古さを感じざるを得ません。当時人気だった赤いファミリアもフェンダーミラーだし、初めての映画出演の武田鉄矢の過剰な演技はちょっと鼻に付きます。高倉健は、それまで東映任侠物や網走番外地でやくざ者の主演をしていて、それらが下火になってから作品ですから、まるであの肩で風切る侠客健さんが、その後更生したって感じですごくいい。
途中出てくる人情味あふれる警官の渥美清がまたよいです。
古いからと避けず、ぜひ見てほしい作品です。
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