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「幻魔大戦14 幻魔との接触」

幻魔大戦 14 幻魔との接触 (角川文庫)
 "小説内の時系列に合わせて再読"しています。また幻魔大戦を読んでない方にはちょっと意味不明な記述になっていることも承知しています。あくまで個人的な記録のつもりで書いていますので、ごめんなさい。
 14巻は、1968年1月27日の話。冒頭は、東丈の自宅に姉三千子を訪ねる木村市枝のシーン。とりとめのない話の中で、市枝が自分の10年後の女性らしい人と会った話をする。そのあと、時制はその日の昼間、15時に。井沢郁江が池袋のデパート屋上で江田四朗の仲間、通称"幻魔の康夫"に逢う。
GENKENはこの日から箱根で合宿セミナーを行っている。郁江はロマンスカーに乗って一路箱根へ。その車内で翌日のセミナー講演の練習として郁江の考えるGENKENの活動について披瀝していたところ、同乗した老人にいたく感激される。老人は高野といい、どこかの会社の偉い人だった。しかもいろいろな宗教遍歴を経験しており、郁江と宗教について話し合う。これまでも宗教的色合いの強かった「幻魔大戦」ですが、ここまで現宗教についての批判や宗教観が出てきたのは初めてで、完全に宗教小説になったのはこの巻からかもしれません。
 箱根セミナーはプログラムが粛々と進んでいる。夕食前に丈は数人の会員たちとジョギングに出かけ、そこで11個の光球を見る。ホテルに戻り、合流した郁江は丈とロビーで話す。丈と郁江が今のGENKENについてここまで深い話をするのも初めて。しかも丈に「東君って性欲あるの」とド直球の質問。杉村由紀は、メイン財団の招聘に丈の代理として明後日(1月29日)にアメリカに行くことになったという。高鳥も同じ便でアメリカに行くらしい。
 郁江、杉村をロビーに残して、ロビーにあったピアノを弾く丈。曲はショパンの「別れの曲」。
 その夜、金髪女性と黒人少年の幽霊が出たという噂が会員たちに広がる。ずっと読んでいる読者には、これがニューヨークに残したプリンセス・ルナとソニー・リンクスではないかということが分かるが、2人と丈の会話はなく、その後丈は何処ともなく出かけてしまい戻ってこない。

 丈の話が書かれる最後の巻。第1期完結が20巻で、残り6巻は丈のいないGENKENの混乱が描かれる。


 言霊使いのお筆先だからといってしまえばそれまでですが、もう少し何とかんならなかったんだろうか。つまらない訳ではないし、それどころか次が気になって仕方がないのは事実なんだけど、このような書き方だと求められる答えは得られないことが、この巻までくるとさすがにわかります。
 作者は自分の作品に手を入れられるのがとにかく嫌だったから、幻魔大戦の構成について編集者は何も言えなかったに違いありません。それに、この状況を出版社も読者も楽しんでいたところもある。事実幻魔大戦は出ることにベストセラーになり、徳間の「真幻魔大戦」も相乗的に売れ、アニメ映画化までされているから、それでよかったのかもしれませんが。私も平井作品は数作読んでいたとはいえ、アニメ映画化をきっかけに「幻魔大戦」を読み始めた(アニメ公開前にそれまで発売されていた16巻まで一気に読んだ)。

 この中途半端な物語をかなり多くの人が読んでいたという事実はやっぱすごいけど、やはりこれは、SF小説とは言えないし、そもそも小説なのかという疑問を感じます。
 ただこの物語に引き付けられるのは間違いないこと。

 さて次巻は、1968年1月28日、丈が失踪したまま続けられる箱根セミナー2日目のお話し。どうなる?