1968年、まだ1月28日(日)、箱根セミナー最終日。先に帰った杉村由紀はGENKEN事務所で引き継ぎメモの作成を終えて、明日からの渡米準備のために帰宅しようとするが、思いもよらなかった飲酒への渇望で赤坂のホテルバーへ向かう。そこで大柄な黒人に誘われるが、すんでのところで高鳥に助けられる…。またしても偶然を装った高鳥の出現。箱根から高鳥は雪に魔手を伸ばし、由紀を篭絡しようしている。
高鳥から逃れた由紀は自宅に帰るが、そこには塚本組の狂犬、矢頭が待っていた。部屋の中に何故。恐らく、こても高鳥の差し金なんでしょう。危ないところに久保陽子が現れ由紀を助けようとするが、矢頭は陽子に傷を負わせ、一行に辞める気配はない。そこに高鳥が到着、本当は高鳥のPKで矢頭をやっつけ、雪を救出するというシナリオの筈が、矢頭に高鳥のPK効果がなく、高鳥は焦る。そこにちょうど木村市枝と田崎が到着、由紀を救出する事ができた。
翌日の渡米を1日伸ばし、1月30日由紀は渡米していった。それまでの迷いが吹っ切れたかのように、晴れやかな精神状態になったのは、高鳥の攻撃が緩んだせいか…。
おそらく高鳥は、矢頭にPKが効かなかったことに大きなショックを受けてるに違いない。その精神のバランスをとるのに精いっぱい。しかも数日後には自分もアメリカに行く。由紀にかまけてもいられないってことか。
丈のいなくなったGENKENは郁江を中心に丈の姉三千子を担ぎ出して改革を進めている。
しかし、丈失踪からまだ1週間もたっておらず、改めて考えるとちょっと性急すぎるような気がします。正月前後も数日の失踪をしている事を考えるとこの時点ではまだいつ戻ってくるかわからない。
角川版「幻魔大戦」は、漫画版のリライトから始まっていますが、既に内容的には全くの別物になっています。ただ、平井和正としてもまだこの時点では、この世界については滅亡するのを前提に書き進めているような感があります。
郁江の神がかりは更に増幅して、あっという間に丈代行としての位置を確立している。丈の禁欲的な運営から、開放的な運営に。しかし軽すぎるのが気になる。それすらも丈の信任を得たかのように、周りを固めていくのに怪しさを感じざるを得ない。
あと残り3巻。

- 作者: 平井和正
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