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「幻魔大戦 19 暗黒の奇蹟」

幻魔大戦 19 暗黒の奇蹟 (角川文庫)
 この巻では具体的に日付が明示されない。前巻が2月8日の話で、冒頭"木の芽時"(「三春」初春(2月)、仲春(3月)、晩春(4月)の季語)、次の20巻で"2月下旬"という表記があることから、2月10日から2月末位のどこかの1日の話っぽいです。3月刊行の東丈の「幻魔の標的」もまだ刊行されていない。田崎は2月に大学合格しているとの記述も。

 お話は大きく3つの舞台で展開します。最初に高鳥慶輔の事務所。杉村由紀の高校時代の同級生で雑誌編集者をしている河村容子が、高鳥の魔手に取り込まれる。次に東洋病院入院中の久保陽子が見まいに来たGENKEN会員木下を淫靡な力で誘惑する話。しかし久保陽子が幻魔に侵されているのは間違いないんだけど、どこまでが自分の意思でどこまでが幻魔の思惑かよくわからない時がある。いずれにせよこれまた悪の波動にどのように絡めとられるかが掛かれている。特に男は色仕掛けに弱いから気を付けないと、と自戒w
 最後は高次元側で、元チンピラの義が植物状態から復帰して超能力を得、善人になった話と、義の快気祝いの席上での土屋香と郁江の話。善側の話であるけれど、郁江の周りのアシスタントグループ、親衛隊とか宮内庁とか呼ばれて郁江を盲信していて他の会員を寄せ付けない人々をみると、実は高鳥や久保陽子(幻魔)と等質の影響力を及ぼしているような感じがします。

 東丈は、自分を信奉せよとは一言も言っておらず、勿論郁江もそんなことは言っていない。高鳥は声を大にして自分を信じれば恵みが与えられるという。やり方はともかく周囲の人間の心持が同じになるのはどういうことか。
 純粋に丈の言っていること、依存の心を持たず、常に努力、反省をすることを守っているのは、田崎や市枝、郁江、圭子他数名しかいない。
 その状況をみても、今生の"幻魔大戦"は袋小路での勝利は一切感じられない。更にこの巻から特にクローズアップされてきた高鳥のやり方も、一般的な新興宗教に限らず旧来の宗教でも同様の方法で信者を獲得、引き留めをしているところがある。キリスト教ですら、"信じる者のみが救われる"的な事をいう。ただどの宗教も本当は信じる者は救われるではなく、信じるだけで救われるわけではない。南無阿弥陀仏と唱えていれば救われるなんて、普通に考えてもあり得ない話です。

 ちゃんと読めば「幻魔大戦」で示唆される魂の在り方、生き方は理解できると思うのに、なんでこの物語を読んだことがきっかけとなって宗教に嵌っていくのかよくわからない。

 さ、次巻で第1期完結。でも終わらないんだよなぁ。。
 
 
 この巻と次の巻で、生頼範義の表紙・挿絵が復活。その後映画の終了で、全20巻が生頼範義の表紙・挿絵に統一されます。