日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「幻魔大戦 20 光芒の宇宙」

幻魔大戦 20 光芒の宇宙 (角川文庫)
 角川版幻魔大戦全20巻再読終了しました。最終巻は1968年2月23日(金)夕方から夜の数時間の話。
 無名塾セミナーを明後日に控えたこの日、塾で郁江と高鳥を襲って自滅し植物人間だった元チンピラ、義の退院祝いを行っていた中、丈の弟卓が、塾に来ていた姉三千子を呼び出す。家に警察から連絡がありどうやら丈に来てほしいらしい。
 何事かと三千子と田崎がS警察に向かうと、そこには北海道からやってきた17歳の家出少女、岩戸火見子が、どうしても丈に逢いたいと東家の周りをうろついていたところを保護したとの事。
 警察がいくら説得しても帰ろうとせず、ほとほと困って状に来てもらうよう連絡をしたということだった。しかし丈は不在、成り行き上、三千子が代わりに火見子を説得することになった。

 火見子の本名は幾代。正体は幻魔に操られた誇大妄想狂の少女だった。
 
 前巻の高鳥や陽子が仲間を増やす描写に加え、自ら救世主を名乗る少女の出現は、善側、光の描写よりも真に迫っていて恐ろしい。幻魔の陥穽にたやすく翻弄される人間の弱さは誰もが持っているもので、そういった闇の波動、欲望に打ち勝つ強い心が必要です。

 
 「幻魔大戦」を読むと自分がどうあるべきかを考えさせられます。20巻もありながら次巻を手に取らざるを得ないのはなんとも不思議な感覚です。実際お話は遅々として進まず、主宰の丈が失踪したといって大騒ぎをしているけど、失踪が1月27日、20巻の最後が2月23日と、1ヶ月も経過していない。1ヶ月未満の中で代行の郁江がどんどんGENKENを改革してしまうのはさすがに拙速な感じがします。
 
 あとがきで平井和正はコミック版のリライトではなく別の幻魔大戦になってしまったと書いていますが、別ではあっても角川版幻魔大戦のラストは幻魔側の猛攻になすすべなく人類は滅亡するという暗示が常に付きまとう。
 ラストでは、パラレルワールドの創造を表すような描写がある。こうしていくつもの幻魔宇宙を創造しそのどれもが中途半端なまま、平井和正はこの世を去った。「幻魔大戦deepトルテック」という別次元の作品が人類勝利を描いているというけど、3巻2万円(文庫換算で約8巻くらい)では手が出せない。どこか奇特な出版社が幻魔大戦全集をできれば文庫版で刊行してくれないものか。


 今回kindleで読み直したのですが、思ったよりも読みやすかったです。唯一難点は、こうして感想を書いている時にそのページをすぐ探し出せないこと。これは恐らくkindleの機能で何かあると思うんだけど、使いこなせていないだけかも。
 読むだけならkindleは便利。本を買ったら電子版も読めるようになるとよいと思うのですが、いかがでしょう。