2014年に『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』のタイトルで「ウォーターボーイズ」や「スィングガールズ」の矢口史靖監督が映画化してます。映画も面白かったけど、原作は動かなと思い読んでみました。
主人公の平野 勇気君が高校を卒業してふらふらしているところを母親が勝手に林業後継者の募集に応募してしまうというのは映画とちょっと違うところ。
勇気くんの一人語りの一人称小説で、神去村に着てからの1年間の心の変化が面白い。
田舎での暮らしは、どっぷりつかってしまえばもしかしたら居心地が良いかもしれない。自然に囲まれいろいろな習俗、しきたりに対してもストレートに楽しむ気持ち。勇気くんは戸惑いながらも村の一員として認められるくらいには楽しんでしまうところが、まだ純粋なんだなぁとほっこりします。
現実はもっと厳しいんじゃないかと、都会の垢にまみれた私などは思ってしまいます。山の仕事もやっぱり大変だと思う。私のような非力には絶対に勤まらない。そもそももともとそういうしがらみが嫌で、結局実家に戻ることなく、終の棲家も都会に近い今の場所にしてしまいました。
最近親の逝去に伴い、実家に帰ることが多いけど、やっぱり無理かなと思うことも多い。神去村ほどの山奥ではないけど、やっぱり田舎の習慣はまだ残っていてそれにはなじめない。
歳をとってもコミュニティがしっかりと機能していれば良いけど、山奥であればあるほど、若者は都会に出ていき、集落は孤立しやがて消滅する。
神去村の48年振りの神事も次の48年目はできないに違いありません。それ以前に山に対する畏怖も山神に対する畏敬の念も村の消滅とともに消えてしまう文化。残念ですが、人がいなければ文化の継承は行われません。
第2第3の勇気くんが現れて、小学生の山太が大人になり、それでも神去村は緩やかに消滅していくんでしょうねぇ。
といいつつ神去村の憧れと郷愁は捨てきれない。続編「神去なあなあ夜話」読んでみようっと。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 徳間書店
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