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「「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気」

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫)
牧村 康正,山田 哲久/講談社+α文庫


2015年にソフトカバーで刊行され、その時も読んだのですが、今回文庫化にあたり、2199の出渕監督のお話し他、単行本時になかったエピソードを追加、更に巻末解説を実写版ヤマトの山崎監督が書かれていた為、ダブりではありますが購入、さっそく読みました。
今後購入される方は文庫版を買われた方がよろしいかと(^_^;)。

 「宇宙戦艦ヤマト」、特に第1作(TV版、映画再編集版)と「さらば―」は、まぎれもない傑作です。松本零士との訴訟問題がありましたが、最終的に著作権は西崎pで結審、松本零士とは示談という結果になりました。
 あの裁判は簡単に言うと「『宇宙戦艦ヤマト』は誰のものか」という裁判でした。確かに松本零士のアイデア、キャラクターがあってこそのヤマトであることは間違いのないことですが、でも、基本的な骨子は松本零士参加以前に作られており、著作権を主張するのはかなり厳しいものだったと思う。

 とはいえ、松本零士参加前の「宇宙戦艦ヤマト」は当初は岩塊、その後も盥のような宇宙船、キャラクターも戦後の絵物語みたいな妙に眼力の強い奴らで、あのまま映像化しても絶対に後年のようなブームになるものではなかった。それを今観るヤマトとキャラクターに変えたのは松本零士のデザインと発想です。

 この西崎義展という男、「―ヤマト」公開の頃からなんとなく胡散臭いとは思っていましたが、この本を読むと「あぁやっぱり(^_^;)」と思わざるを得ません。
 TV版ヤマト2以降の「2匹目のどじょう」「3匹目のどじょう」…(以下略)と、シリーズが進むごとにグダグダになり、挙句の果てに感動のうちに亡くなった沖田艦長を「いやー誤診じゃったよ」の一言で生き返らせるの暴挙。「−完結編」は絵的には最高だっただけに残念です。「―完結編」「幻魔大戦」「クラッシャージョウ」の三つ巴で、少ないおこずかいでどうしても3本観れなかった私、「−完結編」とその頃ハマっていた「幻魔大戦」を選んで「クラッシャージョウ」を観なかったことにかなり後悔しました(数年前に「クラッシャージョウ」上映会があり、何十年か振りに映画館で観ることができました)。

 西崎pのアイデアを多くの才能を集め傑作となったのが「宇宙戦艦ヤマト」です。現在も「―2199」「―2202」と旧来のファンも納得のリメイクが作られています。
 山崎貴監督の実写版ヤマト(SPACEBATTLESHIPヤマト)の原作料は2億円だったとか。生み出してからもせっせと金を運んでくるヤマト。西崎pがヤマトの権利を手放したくなかったのは、単に自分が生み出したわが子のような存在だからか、金を産む鶏だったからかは判りません。
 ヤマトは破天荒な西崎pがいなければ生まれなかった。でも西崎pがいなくなってはじめて本来のヤマトの物語ができるようになったのは皮肉な話。

 「宇宙戦艦ヤマト」は才能の梁山泊であり、権利者の舵取りさえ間違わなければ、これからも素晴らしい続編を作ってくれるんじゃないのかなぁと期待します。
 その為にも第1作ができる裏面でどんなことがあったのかを知ることは大切な事。
 しかし、西崎義展という男、ゲスの極み。こういう男とは一緒に仕事したくない。でも何か人を引き付ける魅力があるからたくさんの才能が集まったんでしょう。稀代の詐欺師と紙一重かもしれないけど…。

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫)

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫)