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「狼のレクイエム 第一部 虎精の里」

狼のレクイエム 第一部 虎精の里
 平井和正著・kindle
 amazonプライム月1冊無料にて。
 祥伝社NONNOVEL→角川文庫→徳間ハードカバー(虎の里)→徳間ノベルス(虎精の里)ときて、電子書籍版で再読。30年来の付き合いですが、再読はずいぶん久しぶりです。
 「狼の怨歌」がハヤカワ文庫(ja)で再刊され、当然続きが読みたくなりますがハヤカワでは出てません。押し入れを探すのも面倒なのでkindle版を。旧版でもハヤカワ文庫では「―レクイエム」以降は出ていませんので、今回の再刊をきっかけに是非出して欲しいものです。。
 
 葉山のCIAアジトに監禁されていた青鹿晶子を救出した犬神明らは虎部隊に匿われていたが、青鹿に投与されたナルコティック800の解毒剤を得る為CIA極東支局に向かう。一方瀕死の重傷を負ったCIAの殺し屋西城恵は内閣情報室に助けられた後、私怨を含め白人どもによる有色人種殲滅のフェニックス作戦をつぶす為、同じく極東支局に向かう。西城は狼男の血清により不死身化し体形が変わり、更に内情により整形されて別人に。内情は、青鹿晶子に酷似した沢恵子を西城の見張り役として付けるが恵子は西城に愛情を感じ始め、西城もまたこれまでに出逢ったことのないタイプの女として恵子を認め始める。犬神明と虎部隊のエージェント虎4(フースー)は、極東支局への潜入の為都内で潜伏。3週間の準備期間は犬神明のかたくなな心を解き、虎4は張り詰めた中でひと時の幸せを感じる…。「―怨歌」より更に過激な描写が進むけど、犬神明の青鹿への純粋な愛情、虎4の犬神明への愛情、そして西城の沢恵子に対する愛情と強い愛の物語になって読者の心を鷲掴みします。

 平井和正は情念の作家、言霊使いと言われますが、確かにキャラクターに振り回されているとはいえ、まだこの続きの「狼のレクイエム第2部」までは充分コントロールできています。
 この10年後正式な続編として「黄金の少女」(全5巻)、完結編「犬神明」(全10巻)が描かれますが、キャラクターが暴走して収拾がついたとも思えない展開をしていきます。

 
 最初に読んだ時も思ったのですが、わざわざ危険なCIAに潜入してあるかどうかわからない解毒剤を探しに行くよりも、犬神明の血清を青鹿晶子に打った方が早いのような気がします(^_^;)。なんといっても不死身人間の血清で、再生能力抜群、血液そのものを輸血してしまったりしなければ「―怨歌」三木看護婦のようにはならない。実際に西城は血清注射で一時的に不死身性を得ている。血清を打たなかった何らかの理由があったんでしょうが描写はなかったと思います。とはいえそうすると話が終わってしまうのでこの展開はなしなのですが、であればなぜ血清では駄目なのかをちゃんと書いて欲しかった。

 執筆時、読者からのファンレターは続編の矢の催促だったらしい。平井和正は当時ファンレターに必ず返事を出す稀有な作家でした。このファンとの濃密な関係は「―レクイエム」執筆中の増長したファンの恫喝のような続編早期執筆の手紙が来るに至り破綻していきます。
 ファンとの距離は一定をたもつのがベスト。かつて石森章太郎も「サイボーグ009」地下帝国ヨミ編で009と002を殺したことでファンからの助命嘆願が来てその声に負けて、001によって助けられたということになり、ダラダラと続編を続ける事になった。挙句の果てに収拾のつかない神々との闘いを作者が死ぬまで続ける事になってしまった。

 さてCIA極東支局への潜入を開始した犬神明と虎4。第2部では過酷な潜入作戦が描かれる。すぐ読みたいけど押し入れを探す時間もなく、せっかくなのでkindle月1冊無料まで後10日我慢しよう…。

狼のレクイエム 第一部 虎精の里

狼のレクイエム 第一部 虎精の里