ウルフガイシリーズは、東宝で(ヤング)ウルフガイから「狼の紋章」、東映でアダルトウルフガイのこの作品が映画化されています。
名画座では何度か掛けられていましたがタイミング悪く見ておらず、今回のソフト化でようやく見ることができました。「狼の紋章」は原作者の平井和正もお気に入りで、ビデオソフト化後にDVD化されていましたが、「ウルフガイ燃えろ狼男」だけは日本未発売で、昨年アメリカでのみblu-ray化されたインポート版を購入しました。
ウルフガイは、アダルトの方がどちらかというと好きで、どのような映画なのか興味津々でした。ただ、日本で未発売なのは、平井和正の逆鱗に触れたからというのがもっぱらの理由だと言われていて、逆にどこまで酷いのか気になっていました。
映画原作はアダルトウルフガイの中の女の怨念が虎となり復讐をする「虎よ虎よ」と、人狼、犬神明後を輸血した人間が疑似狼人間になる「人狼暁に死す」、それと犬神明が犬神の里を訪れる「狼よ、故郷を見よ」で構成されています。
どの映画評をみても低評価(^_^;)。原作者すら初号試写5分で出てしまい、吉田達プロデューサーに「吉田君に原作を任せたのが間違いだった」とまで言わしめた作品。どこかいいところはないか…。
アダルトウルフガイ=アクション映画としたのは、まだ許せますし、アダルトウルフは原作でもさほど狼に変身する描写はないので、千葉真一扮する犬神明が狼に変身しないのも決してマイナスではない。
東宝の「狼の紋章」の青鹿先生があまり魅力的でないのと比較して、出てくる女性たちも決して悪くない。犬神明が唯一愛した女"たか"(渡辺やよい)は、プロポーションも抜群。妄想の虎を操る奈美悦子も恐らく当時人気だった藤圭子っぽい薄幸な感じ。JCIA(内閣情報室)のエージェント?で事あるごとに犬神明を助けるケイティ(カニ―小林、のちの田口久美)もエキゾチックな感じでよい。
JCIAに拉致られ、内臓はみ出させた犬神明が、月齢15日になり内臓が(逆回しで)元に戻ってく描写はなんとも(^_^;)。やたら血がドッピュドピュ出るのもなんだか食傷気味。
一番の問題は86分しかないのに、いろいろと詰め込み過ぎていること。これなら第1作「狼男だよ」から原作に沿って丁寧に作った方が全然良い。
千葉真一も小説造形の"ジャンポールベルモンド崩れ"とは言い難く、精力絶倫な感じ。。
特典映像で山口監督と吉田プロデューサーのインタビューがついていましたが、2人ともウルフガイを単にヒットしていた漫画としてしか意識しいない。漫画版は少年ウルフガイの方で、映画化したアダルトウルフではありません。もう根本的に"わかっていない"です。千葉ちゃんのインタビューではウルフガイには全然触れていない。そもそも今回のソフト化は海外の千葉真一ファンように作られたもののようです。
2人とも、二言目には予算がなかったといいますが、それ以上にウルフガイをまったく理解しないまま作ってしまった。「素材としては面白かったので、もっと真剣に取り組めば仮面ライダーのようにシリーズ化できたかもしれない」と。うーん言いたいことは分かりますが、これもちょっと違うかな。
平井和正が激怒したというのもわかります。
一言で言っちゃうと当時のエログロアクションB級プログラムピクチャです。ウルフガイだってそんな高尚な文学作品ではなく、この映画で出ている俗悪な面は含んでいたと思いますしそこが面白かったとも言えます。でもそのウルフガイの俗悪な部分だけを抽出したって感じで、平井和正的には認めたくなかったんでしょうね。
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