吉村昭著・文春文庫
第2次世界大戦時、日独間の情報交換の為に3万キロの距離を潜水艦で往復する作戦があった。しかし往還したのはただ1艦のみ。インド洋を越えてアフリカ大陸喜望峰を越えて大西洋に。大西洋は連合軍の制海域。生死を賭けて深海を進みドイツに着いても、また同じ経路で日本に戻るのは至難の業。海上に出れば見つかるので、海上航行は夜のみ。天体を頼りに自分の位置を把握し、あちこちに敷設された機雷にも注意をしないといけない。体調が悪くなっても十分な設備がないので治療が受けられない。無線を使えば傍受される為、発信はできずに傍受のみ。
戦車は"鉄の棺桶"と呼ばれるが、潜水艦はそれ以上の"鉄の棺桶"。太平洋戦争の頃よりも快適になっているとはいえ、深い水底を静かに進む潜水艦の閉鎖空間は、閉所恐怖症な私的には絶対に無理。
実際に戦闘に参加するというよりも隠密行動での運用が多かった日本の潜水艦。たくさんの艦が世界中の海の底に眠っている。
吉村昭の記録文学なので、感情的な内容は殆どない。なので、むちゃくちゃ読み難くて結構時間が掛かりました。この内容は、本で読むよりもNHKスペシャルとかでいたらもっとわかりやすいと思う。