370頁ソフトカバー。相変わらず切通さんの本は厚くて電車読書は大変だけど内容充実。言いたいことが沢山あって納まりきれないパトスを感じます。
タイトルの「怪獣少年の復讐」は、「帰ってきたウルトラマン」第15話からの借題。切通さんはこれ以前にも第33話と同題の「怪獣使いと少年」という名著があります。本書は姉妹編にあたる感じ。
切通さんは1964年2月生まれなので学年1つ上、ほぼ同じ世代。ウルトラやライダー、昭和ガメラに善玉ゴジラ他、百花繚乱のTV特撮に毒された世代です。
私的に確かに「帰マン」が1971-72年、で小学1年、次の「ウルトラマンA」が小2、「ウルトラマンタロウ」が小3と、2期ウルトラにハマってよい年齢ですが、帰マンの前半でほぼ脱落、続く「−A」も飛び飛びで数話見たところで子供時代のウルトラは卒業していました。
特撮のマイブームは、1985年のゴジラ復活が契機だったと思います。前年にニュープリントでゴジラ他東宝特撮映画のリバイバルをやって子供向けと思っていた東宝特撮映画が強いメッセージ性を持って作られていたのを知りました。同時に円谷特撮も同様で見返してみるとどれも面白い作品ばかり。
それでも第2期は「帰りマン」まで。以降の「−A」「−タロウ」「−レオ」はやっぱり駄目でした。
この本は、特に第2期ウルトラと大映「ガメラ」正義の味方になった昭和後期のゴジラのスタッフに制作の裏側をインタビューしています。よく見てみると70年代の特撮ものって、子供番組のわりに残酷だったり結論を視聴者側に委ねてしまう物語が結構あります。
ただ子供の視点を忘れずに作劇をするというのが大前提であり、逆に観ている方としてはそれが正直迷惑でした。1期でも「ウルトラマン」のホシノ少年は羨ましいとは全く思わず、「帰りマン」の郷秀樹と仲が良い次郎君もどうしても好きになれなかった。大人に与えられ意識された子供視点を有難く感じるほど子供じゃなかったのかもしれません。こどもが殆ど出てこない「ウルトラセブン」の物語の方が私的には面白かった。だから、ウルトラシリーズを離れて少し上の世代が観る青春ドラマ、例えば「おれは男だ」とか「飛び出せ青春」とか「俺たちの旅」「傷だらけの天使」等々に興味が移っていったのかも。。
とはいえ70年代の特撮もののドラマがどのような意図で作られたかを知る上では貴重なインタビュー集です。

- 作者: 切通理作
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2016/12/10
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