山本 弘著・角川文庫
幼少の頃、豪雨による土砂災害で父母を亡くした優歌は、兄と別々に育てられ、現在フリーライターとなっている。優しい父母を一瞬にして亡くし神に対して不信感を持っている。優歌は、ルポを書く為ある新興宗教団体の合宿に参加をする。
地球滅亡のその日、異星人が現れて救済されるというインチキ教祖のもとに集まる信者たち。当然そんなことは起きずキャンプは混乱、挙句の果てに集団自殺に発展する。
その後優歌はその体験談を出版、時の人となる。しかし神への不信感は募るばかり。実兄は、遺伝アルゴリズム研究の職に就き、その理論を応用したシュミレーションゲームを開発した。その過程の中で神に対する一つの仮説を立てる。自分たちの暮らすこの世界は仮想世界ではないか、ということ。そうでもなければ、世の中に起きる不条理や不可思議な出来事は説明できない。何も悪いことをしていない人が、毎年何万人も自然災害で亡くなるのも神などいないことの証。さてこの仮説は正しいのか。というのが上巻のお話し。
神の存在について、SF小説では様々なアプローチを試みてきました。小松左京は「継ぐのは誰か」「神への長い道」「復活の日」等々何度もテーマにしています。半村良の「妖星伝」、山田正紀「神狩り」。「サイボーグ009」の天使編・神々との闘い編、そして完結編のconclusion GOD'S WAR。他にもたくさん。
著者の山本弘さんは「と学会」元会長としても有名。この物語の中にもUFOや超能力、超常現象について虚実入り乱れて披露されている。
神はいるのか。これは永遠の課題です。文学はそれに対する挑戦だと思います。
さて下巻、どう展開していくか興味津々です。
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2015/02/10
- メディア: Kindle版
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