父親の形見として頂いた大島紬の着物。父親は、普段着物を着る生活は一切しておらず、サラリーマンだったので正装といえばスーツでした。
確か喜寿を記念して仕立てたんだと思います。写真館で夫婦と父親の写真を撮り、結果的にそれが遺影になりました。
父は、身長は恐らく160cm前後くらい。昭和一桁、食糧事情も悪い中で小さい頃を過ごしたのも大きくない原因かもしれません。一方のわたくし、一時は180cmに届く勢いだったのですが、寄る年波に勝てず最近の健康診断では178cmくらい。その差は18cmもあります。
母親が思い入れがあったのか、母の生前にはこの着物譲ってもらえませんでした。で結局は母が亡くなった後、姉貴もいらないということで私が預かることに。とはいえ、これだけの身長差があっては、そのままでは着れません。いずれお直しをしないといけないと思っていました。
来年、母親の3回忌と父親の5回忌があります。できれば、その時にこの大島を着たら供養になるかも…と思い、何とか今年中にお直しをしないとなぁと思っていました。
先週、仕事で呉服屋さんの前を通った時に、店頭に「お直し相談会」という案内を見て、これは渡りに船、運命と思い店員さんに声を掛けたら他のお店で仕立てたものでもよいとの事。というわけで予約をして今日行ってきました。
裾の長さは、折り返しがあり伸ばせるのですが、ゆきは、足し布が必要、足し布は端切れが一緒にあったのでそれを使えばOK、ただ裏地は新しく付け直しと、ちょっと伸ばすだけじゃ間に合わず完全に仕立て直しをすることに。着物と羽織が同じような感じで、更に長襦袢を仕立てる。ついでに着物に合う帯を揃え締めて31万円!!!
着物って高いと思っていましたが、仕立て直しでこんなにするんですね。10万くらいかと考えていたのですが余裕で大幅オーバー…。和装の仕立て直しをする人ってずいぶん減っているらしいです。形見の着物はその3倍近くするものなので、まぁこれ位かかっても仕方がないのかな。それにしても高い。元の金額と足すと優に100万を越える着物になります。ううむ。私こんなに高い服持ってないです…。
呉服屋さん曰く、大島は最初は糊が強くて固いい印象ですが、着れば着るほど馴染んできてしなやかなシルエットになるそう。
とはいえ、ねぇ、私のような小市民は普段使いではさすがに着れません。
仕上がりは2月下旬。ちょっと楽しみです。