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「角川映画 1976-1986[増補版]」

角川映画 1976-1986(増補版) (角川文庫)
中川 右介著・ 角川文庫/Kindle
2015年単行本で読んでいますが、今回文庫化と同意にkindle化されていることを知り、場所も取らないのでkindleで。kindlepaperwhiteで読んだのですが、kindle端末の中でこれは目に優しく本当にいい。お勧めです。
今回の文庫化で単行本の内容を加筆修正、終章が新たに追加されておりますので初めて読む人は文庫がお勧めです。

1976年、「犬神家の一族」からスタートした角川映画は、今の大映を吸収したKADOKAWA資本の角川映画株式会社とは異なります。角川春樹社長(角川春樹事務所)が企画製作したものの総称で映画会社という枠組みからは外れています。
 日本於映画産業が崩壊して、東映東宝、松竹、日活、大映 の5社協定で守られていた時代が終わり混沌としていた中、一介の出版業者が、それまで考えもつかなかったメディアミックスで大量の広告を打ち製作された映画群で、映画を作ることで原作本も売るというやり方は、当時の映画界からは総スカンを喰っていました。そんな内部の事情は面白い映画を見せてくれればよい一般人には関係ありません。映画産業がヘタっていったのは、映画業界が既得権益にしがみついた結果です。大量の宣伝、「前売り券の企業購入で。前売券が金券ショップで安価で売られて正規の料金で入場した観客の不信感を買うこと、そして大量宣伝につられて映画を見に行ってもつまらない映画だった場合に映画そのものが観客に疑われるようになる」というのは、監督脚本家の力量不足が原因、反省すべきはそういったスタッフを育ててこなかった映画界の方だと思う。
 日活の倒産で社員監督、スタッフが路頭に迷うところを助けたのも角川映画。日活ロマンポルノ時代に監督、助監督だった人を一般映画の監督に迎えた功績は大きい。大林宜彦、今関あきよしなどの撮影所出身の監督ではない”異業種監督”もしがらみなく起用したことも角川映画だからこそできた。

 角川映画も初期はほぼ観ていましたね。次は何をやるんだろうと毎回楽しみにしていました。勿論「犬神家の一族」や「蒲田行進曲」「麻雀放浪記」など既に評価の高い作品もありますが、この本をきっかけにその他の作品も再評価されても良いと思います。

 この時代を生きた私と同世代の人にはお勧めです。
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