今村鯉三郎著・不昧堂出版
この本は平成5年1月・4月-平成6年11月まで月刊弓道に連載、加筆編集されたものです。
著者の今村先生は範士九段(出版時)。軍隊生活の中で弓道と出逢い、復員後しばらくは弓から離れた生活をしていましたがその後復帰し、天皇杯(全日本弓道選手権)に2年連続優勝した”名人”です。
amazonで面白そうだなと思ったものの、2500円税別とちょっと高いのでポチるのを躊躇していたら、道場の蔵書にありとりあえず借りて読むことに。大半は射技解説ですが、弓道を志すにあたっての指針となる言葉が沢山あり、手元に置いておきたい本。
よく社会人弓道は当たらなくても良い的な事を言います。でもそれは違うと否定をします。弓は当たってなんぼ。まずは当たらなければ楽しくない。一方で、的中は大切だけれども的中のみがすべてではないとも。弓道が立禅(立ってする禅)と言われる所以でもあります。
弓道では、筋骨の正しい動きが的中を生みますが、それだけでは駄目。ちょっとした緊張で余計な力が入り中らなくなるなんてことはよくある。特に審査や試合の時などは顕著で、練習の時はいい感じで中っても試合となると全然中らない、なんてことはよくあります。これはこころの平静がたもたれていないから。ではどうやってこころの平静を保てるか。これはどんな本を読んでも書いてありません。的中は三位(体の安定、心気の安定、弓技の安定)があって初めて”どんな場においても中る”事が出来る。
心の鍛え方は書いてありませんが、何が大切かは細かく書いてあります。
弓の面白さは、他人が敵ではなく、敵は常に内にあるというところです。だって柔道も剣道も空手も相手がいて、やられると痛い(^_^;)。
矢を射る技術について学んだら、次はどのような場面であっても中る「心気の安定」をどのように作っていくかを自分で切り開いていくこと。これはどんなに偉い先生でも教えることはでできません。自分で気付くことのみです。
図解も詳細で、弓引きのバイブルでもある「弓道教本(第1巻)」よりも具体的で分かりやすい。
弓を知らない人が読んでも…うーん、専門用語が多すぎてわかんないかな。
でも弓引きの人は一度は読んでみるとよいと思います。
仕方ないから買おうっと。ハードカバーだけど全175頁と薄い。なのに2500円…。ニッチな需要だから仕方ないか。しかもこの手の本は刷数も多くないから絶版になると再刷するか微妙だし。。
- 作者: 今村鯉三郎
- 出版社/メーカー: 不昧堂出版
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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