柔道(講道館流・嘉納流)の黎明期を描く「東天の獅子 天の巻」完結。
第3巻で登場した琉球空手の梟と名乗る男、かつて琉球に渡り空手を学んだ武田惣角を追ってきた者だった。師匠である新垣を倒した敵として本土までやってきたのだった。
明治19年10月、因縁の良移心頭流の中村半助と竹内三統流の佐村正明の戦いがあり、
翌明治20年、第2回警視長武術大会が開かれ、
竹内三統流の佐村正明 対 揚心流戸塚派金谷元良
揚心流戸塚派大竹守吉 対 関口新々流仲段蔵
講道館嘉納流保科四郎 対 沖縄手東恩納寛量
講道館嘉納流横山作次郎 対 良移心頭流中村半助
の4試合が行われた。
これが、正に死闘。肋骨、鎖骨が折れるのは当たり前、沖縄手の東恩納との戦いでは、手の骨が手の甲を突き破り、それでも戦い続ける。やばい、読んでるだけで痛そう。
それでも、死力を尽くして戦った者同士の後は爽やかだ。
「警視庁武術大会というのがあって、新興の講道館がその名を世に知らしめた」
これだけの事で、全4巻の小説にしてしまう、しかも格闘技好きではない私でもワクワクと読めてしまうというのはやっぱり獏さん凄いです。
でもやっぱり、格闘技系の武道、私はパスですね。
とにかく痛みに弱いし、骨を折るとかありえません。まして他人を傷つけるなんてとんでもない。
勿論最近の武道は、スポーツ武道になっていて古流の頃とは違うのは分かりますが、相対して拳を相手の身体に中てたり、転ばしたり、関節を極めたりというのはちょっと出来そうもありません。
ちまちまと遠いところにある的を弓と矢で射るのが丁度良いですw
でも、面白い物語でした。
願わくば、当初の予定通り、稀代の天才柔術家「前田光世伝」にまでたどり着いてほしいけど、夢枕獏ももう70近い。この先を読むのは厳しいか。。