映画予告編を観て面白そうと思ったらカミさんが持っていたので読んでみた。文芸雑誌「ダヴィンチ」に連載されていたそう。
大手出版社の社員、速水が、社内の権力抗争や出版不況で、任されている雑誌「トリニティ」が廃刊の危機に立たされる。存続の条件は”黒字化”。会社は、一部をwebマガジンとして存続、売れない紙の雑誌を次々に廃刊しようとしている。編集者として有名作家の大型連載をものにしたい速水だが、海外取材の為の予算すらつかない。空中分解しそうな雑誌をなんとか立て直そうと、持ち前の人柄の良さで問題を解決していく。ままならないのは家庭生活で、離婚の危機が。様々な問題が一度に降りかかり、絶体絶命な状況を速水はどう切り抜けるか…。
という話で、徹底的に追い詰められる速水ですが、速水には明確にしていない”目的”があった。
「騙し絵の牙」というおどろおどろしいタイトルで、”笑顔の裏に潜んだ悪辣な素顔”的な想像をしていましたが、決してそんなことはなく、どちらかといえば、速水の周りにいる人間の方が、近視眼的に自分の利益しか考えない悪者ばかり。そういう意味で、ラストは爽快感で満たされました。
今週から映画公開されているようですが、映画は、小説そのままの内容ではなさそう。予告編面白かったので、観てみようかな。