歌野晶午著・文春文庫
桜満開の季節も過ぎ、華やかなピンク色から葉桜の青々とした色が目に眩しい今の時期、毎年鷺沢萠の「葉桜の日」を読んでいました。鷺沢さんが亡くなったのは2004年4月11日。ちょうど17年になります。
今年は趣向を変えて同じ”葉桜”をタイトルに含んだこの作品を読むことにしました。結構前に買ってたんですけど読めてなかった…。
元私立探偵の成瀬が、同じフィットネスクラブに通う女性、愛子に家族のなくなった原因と睨む霊感商法の会社蓬莱倶楽部の調査を依頼される。元、と言っても若い頃ほんの少しだけ探偵事務所にいただけの成瀬は、それでも愛子の頼みを聞き入れて調査を開始する。
ある時地下鉄のホームから飛び込み自殺をしようとした女性、さくらを助ける。
探偵時代の成瀬の話と現在が交錯しながら話は進んでいく。本当に愛子の家族は霊感商法に騙され保険金をかけられ殺されたのか。成瀬を取り巻く人々も色々な問題を抱えていて、それらの物語が少しずつ絡みあっていく。
なんといってもタイトルが美しい。「葉桜」がどんな意味を持つのかは最後まで読むと分かります。
ハードボイルドではあるのだけど、一筋縄ではいかない。
積読してた小説でしたが、今の年齢で読めたのはよかったのかもしれません。
うーーむこれ以上話すとネタバレになるので、ここまで。
若い人よりもそこそこ年齢を重ねた人にこそお勧めです。
いくつになっても人を恋しく思う気持ちって大切だと改めて思いました。