楠木誠一郎著・祥伝社
今は亡き義父から借りた本。20年くらい寝かせました(^^;)。
伊藤博文といえば、千円札の肖像画で有名、と思った人は私と同世代以上(^^;)。
初代内閣総理大臣。
松下村塾同門の山形有朋とはライバルであった。その山形の命を受けて伊藤博文の刺客として選ばれたのが、自分に刃を向けてきた鵟(ノスリ)という男。
一方で史実上の伊藤博文を暗殺し、その場で捕縛死刑となった安重根。同じ標的を付け狙う2人の行動を、暗殺のその日まで交互に描いていく。なかなかスリリングな物語でした。
それにつけても、初代韓国統監だったが日韓併合反対だった伊藤博文を、よく調べもせずに直情的に暗殺してしまい、伊藤という楔がなくなった日本は、翌年には日韓併合をしてしまう。それなのに安重根を義士とか言って祀り上げる愚かさはどうなんでしょう。
明治時代にドイツから招聘された医師、ベルツは、こう言っています。
「韓国人が公を暗殺したことは、特に悲しむべきことである。何故かといえば、公は韓国人の最も良き友であった。日露戦争後、日本が強硬の態度を以って韓国に臨むや、意外の反抗に逢った。陰謀や日本居留民の殺傷が相次いで起こった。その時、武断派及び東京の言論機関は、高圧手段に訴うべしと絶叫したが公ひとり穏和方針を固持して動かなかった。当時、韓国の政治は、徹頭徹尾 腐敗していた。公は時宜に適し、かつ正しい改革によって、韓国人をして日本統治下に在ることが却って幸福であることを悟らせようとし、六十歳を超えた 高齢で統監という多難の職を引き受けたのである。欧州においては韓国保護について新統治の峻厳を批判する者は多い。これらの批評者は日本当局が学校を創設し、農業を改善し、鉄道を敷設し、道路を開設し、船舶や港湾を建造し、かつ日本人移民によって勤勉な農夫、熟練工たる模範を韓国民に示そうという苦心経営の事実をことごとく無視する者である。私は三度現地に赴き、実際の状況を目撃して感服した。(略) 東京で公より話を聞いた時も、公が韓国とその人民の幸福を推進するためにいかに尊敬すべき企画を持ち、いかに多大な功績をあげたかを明白に推知しえた」
今の韓国があるのは、伊藤博文がその礎を築いたといっても過言ではありません。なのに、伊藤博文を襲ったテロリストを英雄視する。
根本的に自国の歴史を直視し、正しい事正しくないことを判断できなければ、かの国に未来はありません。
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