ERカーで、重大事故・災害・事件の現場に駆けつけて救命処置を施す救命救急チーム「TOKYO MER」(Tokyo Mobile Emergency Room)の活躍を描くドラマ。
最初は、「こんな気疲れするドラマ、この枠でやらなくてよいのに・・・」と思っていました。各話の最後、オペレーションルームで任務完了時「死者は・・・ゼロです!」というのも、「いやいや実際はそうはならないでしょ」と斜に構えてみていました。
主人公の東京MERのチーフドクター喜多見(鈴木亮平)は、幼少時に爆弾テロで両親を亡くして以来、「待っているだけじゃ、助けられない命がある」をポリシーとして、どんなに危険が迫っている現場にも要救助者がいる限り果敢に現場に飛び込んでいく。他のメンバーも徐々に心を開き、喜多見の理想をサポートしていく。
絶体絶命の時でも、最後はすべての人の命を助けていく爽快感。当初の気持ちとは裏腹に、日曜夜のこの時間に観るのに相応しいドラマでした。
演じる俳優さんたちもキャラが立っていて見やすかった。
MERチームメンバー(音羽:賀来賢人・夏梅:菜々緒・比奈:中条あやみ・ミン:フォンチー・徳丸:佐野勇斗・冬木: 小手伸也)は勿論、東京都知事の赤塚(石田ゆり子)、危機管理対策室室長の駒場(橋本さとし)、消防庁ハイパーレスキュー隊の千住(要潤)、敵側だけど、厚労省医政局局長の久我山(鶴見慎吾)、民自党幹事長天沼(桂文珍)、喜多見を追う公安部外事第四課長月島(稲森いずみ)は、後半、一番の見せ場でコロナ感染してしまって大幅に出番が削られたのは残念でした。
このドラマは、コロナ禍の中で家庭を顧みず頑張っている医療従事者へのエールでもありました。
目の前の命を助ける。医療従事者は、コロナでなくても病気の人、怪我をした人にとって最後の砦です。彼らが諦めたら助かる命も助からない。そんな現場で戦っている人たちを「コロナ患者を受け入れている病院に勤めている」という風評で遠ざけるなんて、あってはいけないことです。
現実は、正義が必ず勝つわけではない。ほとんどの場合、正義は常に青臭く、策士の前に敗れるものです。世の中なんて、正直者が莫迦をみるのが当たり前。それでも、現実的でないかもしれないけど、せめてフィクションの世界くらいは、理想を追い求めるストーリーがよいし、そういうことをすることが正しいと思う人が少しでも増えてくれば、もしかしたらこんな嫌な世の中も変わるかもしれない。改めてそう思わせてくれました。
さて、明日最終回の今期もう一つの救命救急の医療ドラマ「ナイトドクター」はどんな最終回を迎えるか。波留好きなんですw