宇宙戦艦ヤマトオリジナルストーリーの小説です。
「宇宙戦艦ヤマト完結編」(’83公開)と「宇宙戦艦ヤマト復活編」(’09公開)を繋ぐ物語。
もともと「宇宙戦艦ヤマト」ってSFっぽいけど、「そりゃないでしょー」的なご都合主義満載の物語ですが、シリーズが続く毎にその度合いが酷くなり、当然のようにファンは離れていきました。「―完結編」で沖田艦長が復活したのには苦笑するしかなかった(^^;)。
だから連続ものと考えるのは一旦やめて、それぞれ単体の物語として見るようになると、毎回結構楽しめますw
にしても、完結編と復活編はそりゃないぜセニョリータって感じでしたねー。西崎プロと松本零士との著作権裁判沙汰があり、復活編に松本零士は参加せず、キャラデザも”パチモン”っぽくなってしまった挙句に、公開版とディレクターズカット版でエンディングが違うとか、そもそも第1部完、となっているものの、雪はいなくなったまま続きが作成される気配もない。
そんな”ご都合主義”の2作を繋げようというのだから作者さんチームの苦労は計り知れないです。
舞台は2215年。水惑星アクエリアスの水柱をヤマト爆沈することで断ち切って12年が経過。古代と雪は結婚し、一人娘の美雪は11歳になっている。
軍規違反をして自ら予備役となった古代進。一方、森(古代)雪は、艦長職を目指すことになる。ある日、地球に残されたアクエリアスの水が氷球となって漂っており、その中に爆沈したヤマトと思しき存在を探知した真田は、ヤマトと、ヤマトとともに沈んだ沖田艦長の状況を確認することを古代に依頼、古代は極秘にアクエリアスに赴くが、強力な重力嵐によって不時着、そこには何故かディンギルの残党軍がおり、攻撃を受ける。すると氷の中から現れた謎の船に助けられる。その船は、かつてディンギルによって大虐殺が行われた惑星ボギーニャの作業船「氷華」であり、生き残りである大村耕作(復活編のヤマト副長ね)ら4名の乗組員によって運用されていた。そして、古代は氷華の助けを借りて氷の奥深くに眠るヤマトへとたどり着く・・・。
「完結編」も「復活編」も2時間を超える大作ですが、説明不足の感が否めない。それどころか、沖田艦長の復活を佐渡医師の「誤診じゃったよ」の一言で片づけてしまうから、あきれられてしまう。公開された完結編での沖田艦長復活には地球防衛軍の機密事項がからんでいたのなら「それ、先に言ってよ」です。
「完結編」と「復活編」の物語内時間も17年の隔たりがあり、いきなり新登場人物が出てきても仕方ないとは思いますが、バックボーンが語られると語られないのでは、物語への没入感、納得感が全く異なります。
今回の「―黎明編」は、「完結編」と「復活編」に対しての不満を、全てではありませんが払拭できる物語でした。
「―復活編」まで観た数少ないヤマトファンの人は是非読んで欲しいです。