万城目学著・角川文庫
9年前、ちくまプリマ―新書で初刊時に読んでいますが、角川で文庫化されていたので買って、そのまま積んでました(^^;)。
かのこちゃんは小学校入りたての1年生。知識に貪欲で、いろんなことが気になり、毎日が楽しくてしょうがない。
マドレーヌ夫人は、ゲリラ豪雨の日、ふらりとやってきたアカトラの猫。以来かのこちゃんちを根城に暮らしている。
かのこちゃんちには、かのこちゃんが生まれるずっと前からいる柴犬の玄三郎がいる。
マドレーヌ夫人は、猫ながら異種である犬の玄三郎と会話ができる。猫仲間の中で、品のある立ち居振る舞いと合わせ、”外国語”が話せるインテリとして一目置かれている。
日常のなんてこととない小学1年生の生活と、不思議な猫マドレーヌ夫人の日常が交錯し、万城目作品独特の不思議な世界が現れる。
そういえば、既に結婚し家を出た長男が小学校入りたての頃、先生に「小学校って天国だね!」と言っていたと、当時担任の先生に聞きました。
幼稚園よりも大人数で、校庭も広く、先生は優しく色々なことを教えてくれる。当時の彼にとっては、かのこちゃんのように、見るもの聞くものすべてが新鮮だったに違いありません。
せっかく仲良くなったすずちゃん(この子もかのこちゃんに負けず劣らずユニーク)とのお別れ。そして老犬・玄三郎との別れ。小学校に入学した時にそれまでの癖だった指しゃぶりをやめ”知恵が啓かれた”かのこちゃんは、楽しいだけじゃない経験をしていく。それでもかのこちゃんは、どんな時も軽やかに毎日を過ごしていて、心が洗われます。
結構最初の方に、かのこちゃんがお父さんに自分の名前について尋ねると、お父さんは「かのこ(鹿の子)というのは、鹿の白い斑点のことで、『”かのこ”がいい』と鹿が言ったんだよ」という会話があります。
鹿と会話できるお父さん…。
『鹿男あをによし』の小川先生?
明示はされていませんが、万城目作品愛読者の方はにんまりのエピソードです。
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