小林信彦著・新潮文庫。1987年初刊、1989年文庫化。
もともと朝日新聞に連載されていた小説。「ウーマンドリーム」というタイトルで、ドラマ化もされています。主演は裕木奈江でした。
一時小林信彦マイブームがあって、その頃購入していたんですけど、ブームが去り読み逃していました。
舞台はバブル前夜の1980年代中頃。低俗なポルノ雑誌の編集バイト朝倉利奈は、雑誌廃刊に伴いバイトを馘首になるところから物語が始まります。職を失った利奈は、ニューヨークでミュージカルや映画のレポートをする面接を受け見事に合格、ニューヨークでの生活が始まるが、それは広告代理店の敏腕プロデューサーの策略で、利奈を知的アイドルとして売り出す作戦だった。
戦略はみごとにあたり、帰国時には時の人になった利奈は、CM、映画、歌とアイドルとして大成功する。そして、事態は思わぬ方向に…。
当時の芸能界を舞台にしているから、どうしても時代性が出てしまって、今読むとレトロ感が半端ない。それでも、おそらく今の芸能界も、ちょっと見た目のかわいい女の子や男の子が、プロジェクトの名のもとに、アイドル化していくのはこんな感じなんだろうなと思わせる。
勿論本人の才能もあるのでしょうが、それよりも芸能プロやマスコミの”好餌”として露出されて、消費されていくというのが正しいのでしょう。
シンデレラストーリーといえばそうなのかもしれません。でもそこから自分をしっかりと持って自分の力で芸能界の荒波を越えていくのは並大抵の努力ではない。どんなに儚げだったり可憐な感じがしても、それは見かけだけ。何十年も芸能界の第一線にいる人ってのは、やっぱそれだけ神経も図太くないと無理なんでしょうねぇ。
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