黒澤明監督1954(昭和29)年公開の「七人の侍」。
自分の中でも不動のNo1映画。DVDも持ってるし(初DVD化版とデアゴ版)、blu-rayは最も画像が美しいクライテリオン版を持っています。
映画好きであれば、当然観たことのある”名作”ですが、古い映画なので、公開時に観た人ならともかく、私たちと同じ世代の人でも「名前は知ってるけど見たことない」って人多いです。
上映時間も207分(3時間27分)と超大作で、途中休憩が入ります。私も初めて観たのはビデオ化された時なので、今から30年くらい前。
噂には聞いていたものの、これほどまでにすごい映画が日本にあったのかという思いでした。
始めて映画館で観たのは町田の映画館「まちえい」の閉館を記念して上映された時。その閉館最終日に観ることができました。
大スクリーンでの「七人の侍」は、ブラウン管とは異なり特に最後の豪雨の中の決戦シーンは圧巻。
2016年に4Kリマスター版が公開。タイトルからしてエッジが効いていて、絵的には新作を観ているよう。
そんな名作「七人の侍」ですが、これまでもたくさんの解題本が出ており、できる限り読むようにしています。
今回の「七人の侍 ロケ地の謎を探る」は、ロケ地に焦点を当てて調べたもの。多くは成城の東宝撮影所のオープンセットで取られていますが、黒沢監督が多くロケ現場としている御殿場、伊豆のいったいどこで撮影されたのかを丹念に調べていきます。
とはいえ70年近く前。
成城の東宝撮影所ですら、セットを作ったところは宅地やホームセンターになり、ほんの僅か面影がある程度。御殿場や伊豆にしても一目で往時と同じところとわかるところはなく、山の稜線や道の曲がり、坂の角度などでロケ地を同定していくのは、読んでいてとてもスリリングでした。
更に、赴いたロケ現場と思えるところでは、当時見学した人や実際にエキストラで出演された人からお話を聞くことができている。
67年前の映画のロケ地を調べるのは今が限界。まして黒澤監督を始めスタッフは勿論、主演の七人の侍もすべて物故されており、当時のお話を聞ける人も限られてきた。
当時であっても困難な撮影。まさに次代に残すべき世界の宝ともいうべき映画が日本で作られたことを誇りに思います。日本人なら必見の作品ですので、未見の方絶対に見て欲しいなと思います。