ちひろは生まれた時、重度のアトピーで、それを心配した両親はあらゆる手を尽くすがなかなか治らない。ある日知り合いから力が宿っているといわれる「金星のめぐみ」という水を渡され、それで千尋の身体を拭いたところ身体の湿疹が消えた。「金星のめぐみ」は、宗教団体「ひかりの星」が売っている高額な水。ちひろの病が治ったのをきっかけにこの新興宗教にのめりこむ両親。千尋の姉、まーちゃんは、普通の家と違うことに気づき、家を出る。
お母さん(原田知世)の実兄の雄三おじさん(大友康平)は、「金星のめぐみ」を公園の水に入れ替え千尋の両親を目覚めさせようとするが、結局うまくいかない。
15歳になったちひろは、自分の家がおかしな宗教に入信している状況で、以前に増して収入をつぎ込んで貧乏になってきているのがわかっていながら、両親のもとを離れない。
宗教二世の問題を真正面から描いており、幸いなことに怪しげな宗教に巻き込まれなかった自分としては、ちひろ一家の様子を外側から見ることができとても興味深かった。これ、実際に宗教二世の人とかが見たらどんな感想なんだろう。
日本国憲法第20条第1項に「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」とあります。
誰がどんな宗教を信じようと自由ってこと。
たとえその宗教が正しかろうとインチキだろうと信じていることの妨げはしてはいけないってこと。
ただしそれは個人的なことで、自分の信じる宗教を強制したりお布施を強要したりするのはいけない。
では、その宗教信じる親に保護されている子供はどうすればよいのか。自我を持つ前から一般的とは思えない教義、理念、規範を刷り込まれる。これは洗脳の一種です。
主人公のちひろは、そんな社会の状況も、家庭の状況もわかっていても、姉のように親から離れることをしない。
それでも親を信じついていくか、親を捨てて社会に出るか。ネタバレになりますが、映画では明らかな結論を描いていません。
宗教に縋る人は、一般的な大多数の社会に住みにくさを感じた人だから、その一般の人に後ろ指をさされようと、宗教コミュニティにいる限りは幸せなんでしょう。私たちの目から見れば、教祖を取り巻きとした一部の特権を持つ人たちを肥え太らせる為に、一切の生活、財産も寄進することに違和感を感じても、その人が幸せならばそれでいいのかな。
ある意味、一般の社会だって宗教みたいなもの。働いたお金だけでなく使ったお金でさえ税金という名の寄進を制度として求められる。
なにが正しくて、なにが正しくないなんて誰にもわからない。それぞれがそれぞれの立場で意見を言っているだけ。
だからこそ、自分が正しいと思う揺らがない幹みたいなものを持つことが何よりも大切なんだと思います。
この映画、芦田愛菜ちゃんの初主演映画だそう。
すいません。「円卓 こっこ、夏のイマジン」2014年行定勲監督が初主演とのことでした。訂正します。
天才子役という名をほしいままにしてきた愛菜ちゃんですが、この映画でも脇を固める名優に負けない名演技で本当に素晴らしい女優さんになりました。