本日公開。
奥山由之監督・鈴木史子脚本
2007年新海誠監督がアニメ映画されたものをベースについに実写化。
オリジナル版は2種類3冊の小説(新海監督本人のノベライズ単行本とその文庫版、それと「―one more side」という別視点のもの)、コミカライズも読み、本編の特別限定生産版DVDも購入、配信でも何度か観てているので、もう何回観てるか判らない位。
原作は3部構成で、
第1話「桜花抄」は、小学校3年生の時に東京に引越してきた遠野貴樹くんという男の子が主人公。翌年転校してきた篠原明里ちゃんとは妙にウマが合い仲良しに。小学校6年生の時、明里ちゃんは栃木の岩舟に引っ越すことに。貴樹君と明里ちゃんは文通を始める。中学1年の時、今度は貴樹君が鹿児島県の種子島に引っ越すことになる。さすがに種子島は遠い。そこで、貴樹君は引越す前に明里ちゃんに逢おうと電車を乗り継いで岩舟に向かう。降り始めた雪が桜の花びらのように秒速5センチで降り続いている…。
次の第2話「コスモナウト」は、貴樹くんが種子島に転校した高校時代を描く。貴樹君を慕う澄田花苗ちゃんによって物語が紡がれていきます。
第3話「秒速5センチメートル」は、大人になった貴樹君と明里ちゃんを山崎正義の名曲「One more time, One more chance」に乗せて散文的に語られます。
全63分のこのドラマを、約倍の121分としているのが気になり、期待していました。
予告では、吉岡秀隆や宮﨑あおいが何の役をやるのか?該当人物が分かりませんでした。ネタバレにはならないと思うのでここだけ明かすと、
吉岡秀隆は、ソフト開発会社を辞めた後、上司の知り合いの科学博物館館長がプラネタリウムプログラマーを探しているということで、向かった先の科学博物館の小川館長役。
宮﨑あおいは孝樹が引っ越した先の種子島の高校の先生で貴樹に思いを寄せる花苗(森七菜)の姉役。今回新しい設定で、高校教師を辞めて、都内の書店に勤務している。
主人個の貴樹くん(大人)は、松村北斗、明里ちゃん(大人)は高畑充希。
オリジナル版は、1章~3章が時系列で並べられ、特に第3章は、「One more time, One more chance」をバックに貴樹君のその後が台詞なくMVのように描かれています。
この第3章は、小説版、漫画版では詳しく描かれていまして、今回の実写版では、貴樹君の彼女、水野理紗との交際と別れについて更に深く描かれています。
同じ物語だから別に観なくてもよいかなともおもったんですけど。オリジナルアニメ版、小説版(ノベライズ版、「―one more side」版)、コミカライズ版とそれぞれ行間を補足する内容だったり、異なるエンディングを予測させるようなものだったりと、常に新鮮な箇所があり、そういう意味で、どのようになっているのか気になり、公開初日の今日、会社を休んでまでして観に行ってしまいました。
基本不満はないのですが、どこかで貴樹君が救われるエンディングを夢見ているのです。
それは、明里ちゃんと再開して結ばれるものでもよいし、花苗と再開して歩み出すのでもよいし、水野さんともう一度やり直すのでもよい。
なんでもいいから、一歩踏み出すエンディングが観たいのです。
もちろん、その部分を委ねる踏切で明里(と思われる人)とすれ違い振り返ったタイミングで上下線の小田急線に阻まれて、遮断機が上がった後は既に明里(と思われる人)はおらず、振り返って進んでいく貴樹くんという、その後を観客に想像させるというエンディングもよいのですが、初めて見た時からずっと悶々として離れられない作品になってしまいました。
かといって、安易に明里ちゃんと結ばれるシーンが映像化されたら、それはそれで違うと思っちゃうんだろうな。
時代設定もアニメ版と同じ90年代後半から2008年頃と約14年くらいの時間になっており、わざわざこの五台にこだわったのは、メインテーマでもある”距離”なんでしょう。
小中学生の頃は文通で、東京(豪徳寺)から栃木県岩舟までの物理的距離、高校生の頃は携帯メールと鹿児島~岩舟の距離。
貴樹君もマメに手紙出したり、メールをしたりして続けていればよかったのに、それをしないでウジウジしていた。
悩む時期だから仕方ないのだけど、一歩踏み出せばハッピーエンドもあったはず。
今回の映画でも貴樹君と明里ちゃんはそこかしこですれ違う。だけど出会うことはない。
私の中では、貴樹君はちゃんと恋愛が出来ているラストがある。
でもそれは恐らくすべての「秒速5センチメートル」ファンは持っている事でしょう。
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
特別限定生産版DVD
blu-ray小説版別視点の「―one more side」
そして漫画版(全2巻)





