
北森鴻著・徳間文庫
2016年に講談社文庫版で読んでいます。
徳間文庫で再刊された「旗師・冬狐堂シリーズ」第2巻。
店舗を持つ美術商が”箱師”と呼ばれるのに対し、店舗を持たない旗師と呼ばれる美術商のこと。
主人公の宇佐見陶子は稀に絵画等も扱うが、主に骨董品や茶器、グラスなどの古陶、古美術品を主に扱う”さすらいの”骨董商。
ある骨董市での入札で手に入れた海獣葡萄鏡と箱書きの青銅の鏡二面。1枚は確かに海獣葡萄鏡だったが、もう一枚は三角縁神獣鏡にすり替えられていたことから事件が始まる。
明治初期、税所篤という河内・兵庫・堺・奈良など西日本各地の県令(今でいう知事)を歴任する傍ら、古美術品の収集家として知られ、税所が県令をしていた頃は廃仏毀釈の時代とも重なり、書画骨董、刀剣、仏像などの古美術を集めに没頭、のちに税所コレクションと呼ばれるようになる。
県令の力で西日本各地の陵墓を調査、特に堺県令時代、大仙陵(かつて仁徳天皇陵と呼ばれていた)の清掃を政府から命じられた際、陵内に小屋を作り1年間作業していたが政府に怪しまれ、小屋の撤去を命じられる。のちに米国ボストン美術館に大仙陵発掘とされる装飾品などが保存されていることから、これが陵から出たものとするならば、県令自ら盗掘をしていたのではないかと、考古学上の風説になっている。
こういった事実を絡めながら、三角縁神獣鏡もまさか大仙陵古墳から税所が出土(盗掘)したものでは?と推理した陶子は骨董商としての命に等しい鑑札と運転免許まで取り上げられるという事件に巻き込まれる。
この事件に、北森作品の他の登場人物(異端の民俗学者、蓮杖那智とその弟子の内藤三國、下北沢の骨董屋・雅蘭堂・越名集治、そして陶子や蓮杖那智行きつけの三軒茶屋にあるビアバー「香菜里屋」とマスターが出てきます。
冬狐堂宇佐見陶子さんは、前作でも窮地に立たされましたが今回もまた…。ただ北森作品のメンバーが助けてくれて問題解決後、「香菜里屋」で飲むとゆー理想的なエンディング。今回は冬狐堂シリーズ全4巻を読みますが、この事件は
蓮杖那智フィールドファイルI「凶笑面」の中の短編「双死神」
同じく蓮杖那智フィールドファイルIVの長編「邪馬台」(北森鴻急逝の為に公私ともにパートナーだった浅野里沙子と共著)
大日本帝国時代の大陸進出の話「暁の密使」
が前日譚、後日譚として描かれていますので、こちらにも手を出したくなります。
(私は全て既読)
そして事件には直接関わらないけど、ビアバー「香菜里屋」シリーズ(全4巻)も忘れてはいけません。
とりあえず、蓮杖那智シリーズは角川文庫で、そして冬狐堂シリーズは徳間文庫で再刊されていますので手に取りやすいかも。
お勧めです。
![]()
にほんブログ村
