今から120年以上前にアメリカ、ニューヨーク・サン新聞(The Sun)に奇妙な社説が載りました。「Yes, Virginia, There is a Santa Claus」(大丈夫だよバージニア、サンタクロースはいますよ)と題されたこの社説は反響を呼び、その後クリスマスの時期になるとニューヨーク・サンは毎年クリスマスに再掲するようになったといいます。
私が初めて知ったのは、いつだったか記憶にありませんが、偕成社から出ている絵本を30年以上前に買い、今もこの時期になると読むようにしています。既に著作権は切れて青空文庫でも読めますが、私もこのblogで毎年転載することにしています。
読んだことのない人がいたら是非ご一読ください。
☆---
Yes, Virginia, There is a Santa Claus
本紙は、以下に掲載される投書に対してただちにお答え申し上げるとともに、このようにまっすぐな方が読者におられることを、心から嬉しく思います。
「こんにちは、しんぶんのおじさん。
わたしは八さいのおんなのこです。じつは、ともだちがサンタクロースはいないというのです。パパは、わからないことがあったら、サンしんぶん、というので、ほんとうのことをおしえてください。サンタクロースはいるのですか?
ヴァージニア・オハンロン」
ヴァージニア、それは友だちの方がまちがっているよ。きっと、何でもうたがいたがる年ごろで、見たことがないと、信じられないんだね。自分のわかることだけが、ぜんぶだと思ってるんだろう。でもね、ヴァージニア、大人でも子どもでも、何もかもわかるわけじゃない。この広いうちゅうでは、にんげんって小さな小さなものなんだ。ぼくたちには、この世界のほんの少しのことしかわからないし、ほんとのことをぜんぶわかろうとするには、まだまだなんだ。
じつはね、ヴァージニア、サンタクロースはいるんだ。愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといるし、そういうものがあふれているおかげで、ひとのまいにちは、いやされたりうるおったりする。もしサンタクロースがいなかったら、ものすごくさみしい世の中になってしまう。ヴァージニアみたいな子がこの世にいなくなるくらい、ものすごくさみしいことなんだ。サンタクロースがいないってことは、子どものすなおな心も、つくりごとをたのしむ心も、ひとを好きって思う心も、みんなないってことになる。見たり聞いたりさわったりすることでしかたのしめなくなるし、世界をいつもあたたかくしてくれる子どもたちのかがやきも、きえてなくなってしまうだろう。
サンタクロースがいないだなんていうのなら、ようせいもいないっていうんだろうね。だったら、パパにたのんで、クリスマスイブの日、えんとつというえんとつぜんぶを見はらせて、サンタクロースをまちぶせしてごらん。サンタクロースが入ってくるのが見られずにおわっても、なんにもかわらない。そもそもサンタクロースはひとの目に見えないものだし、それでサンタクロースがいないってことにもならない。ほんとのほんとうっていうのは、子どもにも大人にも、だれの目にも見えないものなんだよ。ようせいが原っぱであそんでいるところ、だれか見たひとっているかな? うん、いないよね、でもそれで、ないってきまるわけじゃない。世界でだれも見たことがない、見ることができないふしぎなことって、だれにもはっきりとはつかめないんだ。
あのガラガラっておもちゃ、中をあければ、玉が音をならしてるってことがわかるよね。でも、目に見えない世界には、どんなに力があっても、どれだけたばになってかかっても、こじあけることのできないカーテンみたいなものがかかってるんだ。すなおな心とか、あれこれたくましくすること・したもの、それから、よりそう気もちや、だれかを好きになる心だけが、そのカーテンをあけることができて、そのむこうのすごくきれいですてきなものを、見たりえがいたりすることができる。うそじゃないかって? ヴァージニア、いつでもどこでも、これだけはほんとうのことなんだよ。
サンタクロースはいない? いいや、今このときも、これからもずっといる。ヴァージニア、何ぜん年、いやあと十万年たっても、サンタクロースはいつまでも、子どもたちの心を、わくわくさせてくれると思うよ。
(ニューヨーク・サン紙1897年9月21日社説(初出)担当:フランシス・ファーセラス・チャーチ The New York Sun (written by Francis Pharcellus Church)大久保ゆう訳)
青空文庫より転載(http://www.alz.jp/221b/aozora/there_is_a_santa_claus.html)
☆---
こころの病に罹って早2年。
傷や怪我、内臓疾患など明らかな病気も身体を壊し、日常活動に支障をきたしますが、こころの病というのは見た目になんともないと思われ身体のどこかが変になるわけじゃない。
それでも身体的に異状が出て、動くこともままならなくなるのは、まさに目に見えざるものとの闘い(闘病)だったりします。
こころの病を癒すものは、一応薬で…ということになりますが、それ以上にちょっとした優しさや心の安定、無邪気な笑い、暖かな思いやりだったりします。
これこそが、サンタクロースの実態で、”目にはさやかにみえねども”確かな効果として、こころの病には効果的だと感じるようになりました。
世界中の子どもたちにお菓子やおもちゃを配るサンタクロースという人はいないかもしれませんが、パパやママや愛する人がそのエージェント(代理人)として、まさに今大活躍されている事でしょう。
今年もあと1週間で終わります。願わくば多くの人にサンタクロースが来てくれますように。いや、サンタクロースは常にわたしたちとともにあります。

