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「交渉人・遠野麻衣子」

交渉人・遠野麻衣子 (河出文庫)
五十嵐貴久著・河出文庫

初刊は『交渉人』のタイトルで2003年(新潮社)に単行本、その後2006年に幻冬舎文庫になりました。
読んだのは2007年、19年も前で、あらすじすら忘れてました…。
今回、初刊の『交渉人』を大幅に改稿されたとあったので読み返してみましたが、そんなわけで面白く読めました。

交渉人とは、主に人質救出作戦において犯人との交渉を担当する警察・政府の要員のこと。話術を駆使して指揮官と犯人とを仲介し、あたかも第三者が仲裁をしているかのような「演技」を演じ自身と人質の生命を守るように犯人に働きかけ、投降を促す役割を担っている。交渉決裂の場合は、SWATなどの人質救出部隊に事件解決を任せざるを得なくなる。その為、実力行使しないで平和裏に解決するように努めなくてはならない。


初刊された2003年は、交渉人が題材となるドラマ、映画がまだ少なかった時代。「踊る大捜査線」のスピンオフ映画ユースケ・サンタマリア主演の「交渉人 真下正義」が2005年。”交渉人(ネゴシエイター)”が日本警察で正式採用されたのが同じく2005年というから交渉人を主人公に据えるエンターテイメント小説をその3年前に刊行するのは先見の明があります。

タイトルにもなっている主人公は女性の交渉人、警視庁キャリアの遠野麻衣子。
アメリカで交渉術を学んできた上司、石田の薫陶を受けて交渉人としての道を歩んでいたが、石田との不倫を疑われて、所轄の経理課に左遷される。
それから2年、警視庁管内で、医師看護師患者50人を人質に取った立て籠もり事件が発生、石田はすぐに現場に行けず、現場近くの高輪署に勤務していた遠野が石田の代理として交渉に当たる事に。果たして交渉は上手くいって人質解放となるか。。

あとがきにあるように、この20年で特に変わったのが携帯電話。この頃はまだ”ガラケー”が中心で、スマホはまだ出たばかりで一般的でなかった。犯人とのやり取りで電話は必須のガジェットとして本文内でたびたび登場するので、それだけで時代を感じてしまう。その他社会情勢も20年前と今とではずいぶん変わっており、作者としては時代に合わせる為に改訂を望んでいたそうで、縁あって河出書房新社とつながり今回の改訂再刊に繋がったとのこと。

「交渉人 遠野麻衣子」シリーズは現在4巻刊行されています。
・交渉人 遠野麻衣子
・交渉人 遠野麻衣子・爆弾魔
・交渉人・遠野麻衣子 籠城
・交渉人・遠野麻衣子 ゼロ

警察の世界はわからないのですが、上司との不倫疑惑くらいで、キャリア警官が所轄の経理課にまで左遷されるものか?恐らく女性の登用を面白く思っていない男性キャリアのやっかみなんでしょう。という違和感はさておき、「ー爆弾魔」「ー籠城」も一緒に買いましたが、押し入れの奥から「交渉人」をみつけたので、幻冬舎版再読してみます。