篠田節子は、作者読みをしている何人かの一人。デビュー作「絹の変容」から、ずっと読んでいます。今回の「コミュニティ」は6つの作品から成る短編集でどれも「世にも奇妙な物語」風の作品でした。
表題作「コミュニティ」は重症のアトピーを持った我が子の為に都心のマンションを売り払い、郊外の、かつてニュータウンと呼ばれた公団住宅に移り住んだ夫婦の話。エロティックな話ではありますが、70年代に開発し、すでに役割を終えたような団地がうちの近くにあったりするので、勿論絵空事の話であると知りつつ、死にかかっている団地という共同体を救う手段として完璧なコミュニティなのかもしれないと思いました。うらやましいようなそうでないような、いや、うらやましくないな…。ここら辺は読んでいただけば意味はわかっていただけるかと。
「夜のジンファンネル」は、途中まではいいなと思ったんです。理想的な大人の恋愛小説って感じで。でも現実はこんなに綺麗にはいかないよーな気がする。葛藤と後悔と未練と…いろんな感情を胸に抱いてゆっくりと時間が解決するのを待つ感じ?
「恨み祓い師」もホラーですが、篠田節子が才能あるなーと思うのは、こんな面白いネタを連作にせず、短編1作でまとめてること。才能の無い作家だとこのキャラだけで何作も書いてしまいそう。
他3作もいい感じで面白いです。短い作品なのですぐ読めます。お勧め。
- 作者: 篠田節子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/16
- メディア: 文庫
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