永沢さんといえばAV女優のインタビュー集「AV女優」「おんなのこ―AV女優2―」が有名です。
亡くなって2年、遺作がやっと文庫化されました。
下咽頭ガンで声帯を切除、その闘病記でもあります。結果的に直接の死因は肝機能不全。ガンじゃないんです。
まったくせっかく拾った命なのに、酒びたりの生活を改めなかった愚かな人。そんな彼の文章がたまらなく好きでした。
声をなくしてから筆談しかできないのにそれでもインタビューを依頼する編集者。彼ならインタビューを受けてもいいという人。そして彼をやさしくいたわる奥様。彼の周りはやさしさで満ち溢れている。おそらくそれは彼自身がとてつもなく優しいからなんだろう。
振り返ってみれば私は周りに厳しい。理想的なのは、自分に厳しく他人に優しい人なんでしょうが、まだまだその境地に達していない未熟者です。自分に厳しく、他人に厳しい。最低です。
本来の私は、ぬるぬるのだらだら。そんな自分が毎日決まった時間に起きて追われる様に仕事をするなんて、自分に厳しくないとできません。
でもそれを他人にも求めてしまう。自分もみんなに迷惑をかけないように血の滲む努力している。それなのにどうして君は私に迷惑をかけるのか、と口には出さないけど思ってしまいます。
ここら辺がとてつもなく未熟なところで、日々自己嫌悪に陥ってしまってます。。
永沢さんは自堕落な人。でも単に自堕落な世捨て人じゃない。自堕落な自分を常に恥じている。こんな生活してたら駄目だよな…といいつつ翌日も同じ生活を続ける。そんな自分をいたわってくれる周りのすべての人に感謝し、愛している。
いいなぁ、こういう人になりたいよ。
いい人って死んじゃうんだよね。
最後の奥様のあとがきまで読んで感涙必至★★★
色眼鏡で見ないで、「AV女優」も是非読んでみて。
とても優しい気持ちになります。