名画座って死語だよなぁ。今は、DVDで簡単に旧作を見られる時代になりましたが、今から25年位前は、レンタルビデオ屋さんが徐々に増えてきた頃で、1泊2日で安くても500円位した時期。名画座にいくと2、3本立が同じくらいの金額で見れました。その為、情報誌『ぴあ』を毎週買い、目を皿のようにして名画座のプログラムを確認し明日は池袋、今日は飯田橋、早稲田、新宿、上野、大森と都内中の映画館に行ったもんです。
そんな映画館もひとつまたひとつとなくなり、ほとんどが味も素っ気もないシネコンになってしまい残念至極。
確かにDVDであれば、いつでも好きな時に見ることは出来ますが、映画は基本的に映画館でみるもの。更に全てがDVD化されているわけではないし。
『名画座番外地』は今は閉館してしまった新宿にあった東映やくざ物ほぼ専門の名画座の栄枯盛衰を従業員だった川原テツさんが記したもの。昔からいかがわしい客層が集うので有名な映画館だったので当時のうぶな私は行ったことはありませんでした。しかしながらシステマチックなシネコンと違い、なんかアットホームな感じは十分理解できます。
昔、名画座に行き始めの頃、朝イチの客が私一人しかいなくて、もぎりのおばちゃんが「お兄ちゃんひとりだけど始めちゃおうかね」とかいって時間前なのに上映始めちゃうなんて事があって驚きました。
そんな(もう戻れない)古きよき時代を思い出させてくれる楽しい本でした。
でもさ、シネコンって、あれだけスクリーンがあるんだから「5面以上のスクリーンがある場合、1箇所に1スクリーンは必ず旧作を安価で提供しなければならない」的な法律(条例でもいい)を作らないかなぁ。
名画座番外地―「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記 (幻冬舎アウトロー文庫)
- 作者: 川原テツ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/12
- メディア: 文庫
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