何度も観ていますが、例のHMD、バーチャル大画面で視聴。
1961年4月公開。監督は、言わずと知れた黒澤明。同じ黒澤監督作品でいえば「七人の侍」イチオシなんですが、いかんせん207分(3時間27分)と長い事が災いして、手に取るのを躊躇う人もいます。その点こちらは110分と短く、黒澤監督と三船敏郎の脂の乗った時期の作品なので、黒澤入門としてはこちらの方が良いかもしれません。
それまでの様式美溢れた時代劇とは全く異なる作劇で、海外でも日本映画として人気のこの作品。イタリアで無断で『荒野の用心棒』としてリメイク(提訴されて後許諾されている)されていたり、”日本の古い映画”的な先入観をもっていると、いい意味で裏切られます。
冒頭、強い風の吹き荒れる宿場街。そこにひとりの侍が堂々と画面に登場する。その傍らを人の手を加えた犬が通り過ぎる。。街は、馬目の清兵衛 新田の丑寅の2つのやくざ者が支配している。ひとつの街にひとつのやくざ者ならよいが、2派が常に覇権を握ろうと小競り合いが続く為、儲かるのは棺桶屋ばかり。
均衡を破るのは、三船敏郎扮するこの流れ者、名前を問われると窓の外に広がる桑の畑を見て「桑畑、三十郎。もうすぐ四十郎だが」という。最初は清兵衛の用心棒となるが、ある事がきっかけで、丑寅の用心棒に。更に丑寅の息子卯之助(仲代達矢)が旅から戻ってきて、一気に形勢は新田の丑寅側になると思われるが…。って感じの話。
この卯之助が、かっこいい。スカーフを巻き、懐にはリボルバーの拳銃を常に忍ばせ手を掛けている。見どころはたくさんありますが、ラストこの卯之助と三十郎との対決は、最後まで気を許せません。
白黒映画はなぁ…と敬遠される方もおりますが、判りやすくて、でも単に勧善懲悪ではないこの作品。邦画だってこんなに面白いんだよ、ハリウッド作品を盲目的に礼賛する映画好きの人にこそ観てほしい一作です。
超お勧め。
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