平井和正著・kindle
日本に戻った丈は、姉・三千子に自分の起きた出来事を包み隠さず話す。
覚醒前に手酷く振られた音大生の沢川淳子に復縁を迫られた丈は、淳子の家に招かれる。淳子の家は使用人もいる大きな家。にもかかわらず誰一人家にはいない。しかも酷い異臭がする。淳子は丈を篭絡する為に皮一枚を残して中身を食われていた。勿論使用人、家族は既に幻魔に食われている。PKを使い淳子の皮をかぶった幻魔をスタンウェイのグランドピアノでつぶす丈。もしかしたら、淳子を殺したかもしれない、と三千子に話すと、三千子は沢川家に戻り確かめてこようと言い出す。
まだ2巻は漫画版のリライトですが、この後、幻魔は三千子を次のターゲットにするため東家に来、三千子を襲う。ここで漫画版、角川アニメ版は幻魔を道連れに三千子は命を落とすけど、小説版は生き残ります。ここら辺から漫画版から徐々に離れていくことに。
一方、2人目の能力者を戦陣に引き入れる為、ルナ姫とベガはニューヨークのハーレムに行く。そこにはギャング団を率いるスーパー幼児、ソニー・リンクスがいる。ソニーにテレパシーで語りかけるが、一行に取り合わない。ソニーが強盗に押し入っている中もそれは続き、ついにソニーはトランス状態に入り、完全に意識を飛ばしてしまう。その時、包囲していたニューヨーク市警に強襲され、リンクスギャングのメンバーは次々に斃れていく。間一髪意識を吹き返したソニーは特異の"壁抜け"で脱出。ルナの説得は一切聞き入れられず、ニューヨーク市警に兄のチンク救出に向かう。ルナ姫は、自分の人種主義を抑えることができず、能力者を糾合する事の難しさを知り悲嘆にくれる、という話。
この巻は、まだ丈の肝が座っていない。姉の三千子の女神性が際立っています。一方のルナ王女は、有色人種が大嫌いな典型的な白人至上主義者。黄色人種の丈も黒人のソニーも高次元意識体のフロイに幻魔侵攻を聴かされなければ、出来れば一緒にいたくない。そんな人種差別的な描写がこれでもかってほど出てきます。それを異星人のベガに揶揄される。宇宙に出れば、昆虫型や爬虫類型のヒューマノイドがいるのに、肌の色くらいでなぜそんなに嫌うのか、王女が黒人と結婚したら、グレーの子が生まれるのかまだらの子が生まれるのか、など差別感満載。でもベガは心底不思議らしい。
三千子と丈が沢川家に向かう際の、愛の云々が、のちの”光のネットワーク”に繋がっていく。 小説だから結構感動のシーンだけど、角川アニメ版は大友キャラで、でこっぱちの丈と地味な三千子の会話でなんかちょっと興ざめでした。アニメ版については改めて触れますのでこの辺で。
しかし本格的にkindleで読書していますけど、使い勝手がなかなかよくハマりそうです、電子書籍。

- 作者: 平井和正
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/12/03
- メディア: Kindle版
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