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「Fukushima50(フクシマフィフティ)」

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若松 節朗監督
 本日封切。封切初日で観に行ったのはいつ以来だろう。

 2011年だからわずか9年前。いまだ避難生活を送られている方がたくさんいる中での映画化が果たして正しいのか、冷静に、客観的に描くことができるのか、正直疑問もありました。
 福島、東北ではなく東京でしたがリアルタイムで経験した東日本震災と福島第一原発の事故がどのように描かれるのか、興味があり仕事帰りに観に行ってしまいました。
 映画館は、新型コロナウィルスの影響で1個飛ばしの席での予約受付、更に映画館は密閉空間ということで避けられたのか、初日にも拘わらず450席以上の部屋に20名くらいしかいませんでした。1個飛ばしの席はなかなか快適。

 「Fukushima50」というのは、初めて聞く言葉で映画の為の造語かと思ったら「東北地方太平洋沖地震の際に福島第一原子力発電所の対応業務に従事していた人員のうち、同発電所の事故が発生した後も残った約50名の作業員に対し欧米など日本国外のメディアが与えた呼称」という事でした。

 物語は2011年3月11日14時46分地震発生から始まります。地震津波の描写がリアルすぎて恐怖。CGで地震発生源を映し、膨れ上がる海が徐々に津波となって沿岸に進む。原発でも訓練通りの作業が始まるが、まさか10mを超える津波になるとは誰も想定していない。そして津波が到達し、ディーゼルの非常用発電が冠水、SBO(ステーション・ブラック・アウト)、全電源喪失状態、原子炉は冷却不能となる。
 吉田所長(渡辺謙)と1・2号機当直長の伊崎(佐藤浩市)式の元、原発に働く所員、関連会社の人たちは原子炉制御の為に最善を尽くすが、東電(映画では東都電力)と首相官邸が、現場の混乱に理解を理解することなく、様々な指示をしてくる。挙句の果てに首相が突然現場視察に行き、一刻一秒を争う作業の遅れを産む。そして事態はさらに悪化していく。疲弊していく原発所員たち。

 後日本店、官邸、原発事務所内のTV会議の様子が公開されましたが、映画的演出は極力抑えられて、ほぼそのままなのは驚きを禁じ得ません。
 実際の動画がこれ↓

福島第一原発3号機爆発時のテレビ会議映像

 無責任に指示する東京本店にいる緊急時対策班の東電常務(篠井英介)がまぁ憎らしい。上手すぎです。

 首相役の佐野史郎が少し演技過剰という評価もあるようですが、私、当時東電と仕事で絡みがあって、数か月後に別件で打ち合わせに行った時、震災の時突然首相がやってきて、会議室で怒鳴り散らしていた声が廊下でも聞こえていたというから、あながち過剰な演技でもないんじゃないかと思います。
 一歩間違えれば、東京を含む東日本全体が放射能汚染される状況を考えれば、平常な精神状態にいられないとは思います。ましてやそれが自分が首相の時に起きるとは。しかしだからこそ冷静に対処すべきで、ことの真偽はともかく、冷静さを欠いてしまう菅氏は首相の器ではなかったという事ではないかと思います。


 敢えて映画としての話。
 この映画は事実をもとにした映画ですが、私的には「シンゴジラ」と等質のカタルシスを憶えました。シンゴジファンは是非見るとよいと思います。シンゴジは”ゴジラ”という架空の恐怖でしたが、この映画は”原子炉”というリアルな恐怖。その恐怖に人間がどのように対峙するか、しかも政治的な混乱、会議、打ち合わせのシーンの多さなど似た面が沢山ありました。ゴジラ絵空事ですが、原子炉はすぐ隣にある。いかに想像力が欠如した人でも恐ろしさを感じる事でしょう。誤解を恐れずに言うと”リアル「シンゴジラ」”って感じ。

 まだ始まったばかりで、コロナウィルスの問題もありますが、多くの人に観てもらいたい映画だと思います。

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佐藤浩市×渡辺謙主演!映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)予告編