最近子供たちは、バイトに部活にと忙しく、夕飯すら一緒に食べない日が多い。そんな、帰ってきてひとり夕飯を手べている時、カミさんがこんな話を始めた。
「こないだね、優先席に座ってる、頭よさそうな高校生がいたのね」
「うん」と私。
「その高校生がさ、単語帳とか開いて一生懸命英単語覚えているわけ。」
「そりゃえらいね、うちの娘がバスの中で単語帳を開いてるとは思えないもんね」
「まーね。でね、停留所で、おばあさんが乗ってきたのにね、その子席譲らないで黙々と単語覚えてるわけ」
「気がつかなかったんじゃない?」
「いや、視界には絶対入ってるよ。でさ、こう思ったの。寸暇を惜しんで勉強するのはいいけど、その勉強は何のためにしてるんだと。一生懸命勉強して偉くなって少しでも住みやすい世の中を作る。そういう考えは今の子にはなくて、自分の為、自分さえ幸せになればいいのかと。」
「…」
「この姿を親に見せたいね。親はどう思うんだろう」と。
義憤に駆られたカミさん、怒るというより哀しい顔をしていました。
話はまだ続きます。
「どんなに混んでいても優先席座らない人いるよね。」
「いるねー。普通に俺は座るよ。でも自分より明らかに年長のおじいさんおばあさん、妊婦さん(これは最近チュニックとか着てると分かりにくいけど)、怪我人が来たら即譲る。なんつってもそーゆー人の為の優先席だからね。でもあくまでも"優先"席で"専用"席じゃないから座ることはおかしくないという理屈。」
「それでいいと思う。でね、なんで座らないかっていうと譲る声をかけるのが嫌だからなんだって。まーね、確かに断られたりするし、譲った後前に立ってるのもなんか恥ずかしいしね」
「そうそう、俺席譲る時とか、「次の駅なんで(^_^)v」とかさわやかに言って、全然手前の駅で下りたりするもんね。」
「そこまですることないじゃん。でも、なんだかね、変な世の中になっちゃったね」
年寄りが縁側でお茶飲みながらする話をしてしまったのでした。。