2007年に発行されています。東日本大震災の4年前。元々は週刊現代に連載されていた小説形式で地震の心得を中心にした小説とも解説書ともいえるお話。
主人公は、デスクマットを売るサラリーマン。西谷久太郎(にしたにひさたろう)。「さいやくたろう」とも読める。彼が都庁にセールスに行った時に、東京湾北部を震源としたマグニチュード7.3の巨大地震に遭遇する。混乱の中、向島にある自宅に向かう主人公は、都庁で一緒に被災した甲斐節男(かいせつお・「かいせつおとこ」とも読める)と知り合い、道中共にすることになる。
私も東日本大震災の時に主人公の倍以上の距離、約30kmを歩いた帰宅困難者でしたので、この小説はなかなか面白く読めました。ただ現実とは異なり震源も近い為、震度も大きく、発生時間も6時29分と夕飯の支度や帰宅時間になっている点で、被害の大きさが桁違い。あの震災では暴動や略奪、大火災はなく、みんな黙々と家路についていました。
楽観的かもしれないけど、どんなに大きな地震が来ても、コンビニや商店が略奪団に襲われるなんて事はこの日本、少なくとも日本人はしないのではないかと思っています。勿論全て安全というわけではなく襲われる店もあるでしょうが、全ての店が根こそぎ略奪にあうというのはなかなか考えられません。
本当に帰宅がサバイバルになるほどの地震が来たら怖いです。でもまた来るんだろうな。そんな日の為にご一読をお勧めします。もっとも実用書としては情報不足、小説としては特にスペクタクルもないので、軽い読み物として暇つぶし程度だけど、まぁ役に立たないわけでもないし、面白くないわけでもないという感じですが…(^-^;)。