北森鴻 著・文春文庫
旗師・冬狐堂の3冊目。最近北森作品を順番関係なしに貪るように読んでます。それくらい面白い作家さんです。
旗師というのは、店舗を持たない骨董屋。冬狐堂を屋号にする宇佐美陶子は、目利きと美貌で骨董の世界では知る人ぞ知る存在。その彼女が骨董を介して起きる事件に巻き込まれると言った連作短編。この本は、
「陶鬼」
「「永久笑み」の少女」
「緋友禅」
「奇縁円空」
の4作が収められている。
「陶鬼」は、萩焼に革命を起こした秋霜の秘密
「「永久笑み」の少女」は、少女像の埴輪とその堀り師の話
「緋友禅」は、友禅染の技法を使った無名の作家の話
「奇縁円空」は、諸国を行脚して12万体の仏像を彫ったと言われている円空。その円空仏の贋作、鬼炎円空に纏わる話。
タイトルは「緋友禅」ですが、全体のうち半分を占めるのが「奇縁円空」の話でした。
骨董の世界は全くの門外漢なのですが、すごく興味深く読めました。謎解きという意味では、先の読める展開ですが、そんなことは瑣末なこと。こういう全く知らない世界についても面白く読めてしまうというのは、作者の力量だと思います。2010年に急逝されているのが惜しまれてなりません。
冬狐堂の造形も素敵です。やっぱ美人は得ですw
冬狐堂シリーズは全4作、後3作楽しめます。
- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/01
- メディア: 文庫
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