60−70年代に大量生産された特撮映画、ウルトラQに始まるTV特撮、鉄腕アトムからスタートしたTVアニメ。これらのドラマは、子供向け番組といいつつ、戦中戦後を生き抜いた監督、脚本家たちが自らのおかれた立場を虚構の世界に仮託したものが多かった。
ウルトラマンやウルトラセブンのメインライター金城哲夫、上原正二は、当時まだアメリカに占領されていた沖縄の出身で、虐げられた沖縄県民の複雑な想いがドラマに表れている。旧作の宇宙戦艦ヤマトも戦争を色濃く反映したドラマだった。特撮ものやアニメばかりでなく、当時のドラマの殆どがそういった暗い情念を内包していた。
今のドラマが昔のドラマに比べて薄っぺらな感じがするのは、作り手側にそういった深みが皆無で、実際の体験、経験をもとに形成された思想をもって作劇をしておらず、過去の作品をもとにいわば二次創作をしているだけだからに違いありません。勿論それでもオリジナルを知らなければ十分楽しめるし、庵野秀明などはそういう作劇しかできない世代であることを自覚して、上手にパッチワークができる人だと思う。
そういった時代の事象とドラマとの関係性について改めて指摘したコラムをまとめた本。
- 作者: 但馬オサム
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