日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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『御巣鷹の謎を追う』米田憲司 を読む。

 副題は「日航123便墜落事故」
 1985年8月12日、単独機事故としては最大の520名の犠牲者を出した航空機事故。毎年この時期に慰霊の意味も込めて、関連の本を読むようにしています。
 この本は、2005年7月にボイスレコーダ音声+CG映像付きで発表された本の文庫化。ボイスレコーダー音声は、今もYOUTUBEにたくさん上がっています。
 この事故当時大学2年生。色々なことがあった年でした。ざっと挙げてみても、
 つくば博/日本初のエイズ患者/電電公社がNTTに/豊田商事会長刺殺/神田正輝松田聖子結婚/『バック・トゥ・ザ・フューチャー』/グリコ森永事件(事件の発覚は前年)/ロス疑惑三浦和義逮捕/夏目雅子急逝/スーパーマリオブラザース発売/『8時だョ!全員集合』終了/ 阪神、21年ぶりセ・リーグ優勝(11月の日本シリーズでは、西武を破り日本一)
 と、こんなに事件が。
 ちなみに私的なことですが、カミさんと付き合い始めたのもこの年です。。
 世はバブル前夜。この年の7月にバブルの引き金となったといわれる「プラザ合意」(G5の為替レート安定化に関する合意)があり、これからどんどん"浮かれた"世の中になっていきます。
 夜の闇は、夜明け前一番暗いといいます。まさにそんな感じで、徐々に空が明るくなっていく様子がところどころに見える一方で、凄惨な、また、わけのわからない事件が多発していました。「日航123便墜落事故」はそんな事件のひとつ。
 この本は、元「赤旗」取材記者である著者が、この事件を追ったもの。この事件を中心に事故調査委員会のあり方にも言及しており興味深い。
 そもそもこの事故は後部圧力隔壁破壊による垂直尾翼の大破とそれに伴う油圧系統の喪失による操縦不能、というのが事故調の報告。しかしながら、委員会による調査は杜撰なもので、事故調として本来あるべき、徹底した調査と再発防止の観点に立っていないんじゃないか、と著者は訴える。相模湾に落ちた垂直尾翼の回収も一部のみ。早々に機体メーカーのボーイング社が社員立ち会いの整備が不良だったという記者発表をしていて、その結果に準拠した調査報告になっているというのだ。いわゆる政治的決着の線が色濃い。これは、本来の事故調のあるべき姿ではない。
 「航空法の基本的な構成は、空を飛ぶことは危険なものとして原則禁止し、政府機関で設けた条件を満たすものだけが空を飛ぶことが許される事になっている」(424p)とあります。普段何気なく乗っている飛行機ですが、改めて「空を飛ぶことは危険なこと」といわれると「ビクッ」っとしてしまいます。
 つまり、空を飛ぶこと(航空会社を経営したり、機体も国が認めたもの、整備士、運転士も国が認めたもの(国家試験を合格した者))は、政府の認可が必要ってことですが、その政府が信用ならんという場合はどうしたものか。もっとも、電車の運転も、もっと身近でいえば車の運転も「国家資格」。法治国家だから、認定を受ける(資格を取る)のは大前提として、要は、運転の技術だけでなく、個々人の意識の高さが重要ってことです。
 
 
 もうすぐ26回目の夏がきます。
 520柱(実は、まだ生まれていない胎児(胎年25週前後)が後に発見され非公式には521柱) の尊い犠牲に報いるためにも、この事故を忘れてはいけないと思う。
 最後に、この事故で亡くなられた、河口博次 さん(52)の遺書を全文転載します。河口さんは、兵庫県芦屋市にお住まいの大阪商船三井船舶神戸支店長。遺体の上着の胸ポケットに入っていた手帳に7ページにわたって、書かれていたものです。

 
マリコ
 津慶
 知代子
 どうか仲良く がんばって
 ママをたすけて下さい
 パパは本当に残念だ
 きっと助かるまい
 原因は分らない
 今五分たった
 もう飛行機には乗りたくない
 どうか神様 たすけて下さい
 きのうみんなと 食事をしたのは
 最后とは
 何か機内で 爆発したような形で
 煙が出て 降下しだした
 どこえ(原文ママ)どうなるのか
 津慶しっかりた(の)んだぞ
 ママ こんな事になるとは残念だ
 さようなら
 子供達の事をよろしくたのむ
 今六時半だ
 飛行機は まわりながら
 急速に降下中だ
 本当に今迄は 幸せな人生だった
 と感謝している」

御巣鷹の謎を追う (宝島SUGOI文庫)

御巣鷹の謎を追う (宝島SUGOI文庫)

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