kindle版がフルカラーなので買っちゃいました。
田中圭一というと、どうしてもH系か、手塚治虫、松本零士、ジブリとかの"イタコ"系の漫画(これは同人誌を読んでいないとわからないか…)しか思い浮かばないけど、メジャーでここまで大ヒットするとは、本人も思っていなかったに違いありませんw
鬱を体験した人の、その時の状態と、どうやって鬱のトンネルから抜けることができたのかを、自身の体験(作者もうつヌケをした一人)から、その他著名人を含む体験談をインタビューし漫画化したもの。
「鬱なんて関係ない〜」って人って、実はあんまりいなくて、みんなその予備軍だということが分かる。決して他人事ではありません。
かくいう私も、かつて2ヶ月ほど休んだことがあって、鬱というのとは違うんだけどこの本を読んでやっぱ鬱だったかなと改めて思います。幸い軽かったのと、2か月で完全に吹っ切れたので今はなんともありません。
あの頃はとにかく仕事中心の生活で、仕事で認めてもらわないといけないという焦りがあったのかもしれません。仕事で上司の覚えめでたくとんとん拍子で出世してしまうほどの世渡り上手じゃないってことを自覚して、仕事は趣味と生活の収入源と割り切ると、意外と気持ちが楽になりました。
人生は仕事だけじゃないし、その仕事だって死ぬほど思い詰めてやるもんでもない。辛ければ辞めりゃ済むこと。自殺なんて莫迦らしい。
収入は欲しい、地位も欲しい、休日も充実した時間を過ごしたい、家族ともいつも一緒にいて良好な関係を築いていきたい。これを全て充足させている人って恐らくそう多くはないと思います。
仕事を疎かにするわけじゃなく、仕事は仕事としてちゃんとやるのは大切な事。会社という組織は個人のいろいろなものを犠牲にすることで地位や報酬を約束する。だけど、必要以上に仕事に掛ける時間を多くすることで得られるものなんて、精々地位と名誉とお金くらい。人間、立って半畳寝て一畳、生活に困らない程度のお金があれば後は会社に奉仕したところで、自分としては豊かな人生だとは思えません。まぁいいのか、地位と名誉とお金が好きな人もいるから。でもたかがサラリーマン、1,2階級上では収入なんてそう変わりません。精々数百万〜数千万程度、億の差が出るには社長クラスにならないと。
定年退職してそれから遊ぼうといっても、結局付き合うのは昔の会社の人ばかりだったり、新しいコミュニティに入って一から始めたところで、それまで公私バランスよくやっていた人にはかなわない。まして、それなりの地位だった人が、また新人としてコミュニティに入るにはそれまで纏ってきたプライドをばっさり捨てないといけない。これがなかなか出来ない人が多くって、結局昔の仲間とつるむ。後輩ばかりなら自分を立ててくれるからね。でもその後輩も自分が定年した時点では現役だったりするので、自分のペースでは遊んでもらえない。
鬱は心の風邪じゃなくて癌(死に至る病)だとありました。まさにその通り。鬱になる前に、公私のバランスをうまくとることが老後を豊かに過ごす為にも大切だと思います。
書店にもたくさん並んでいますが、もし電子書籍の環境があればkindle版は同じ金額でフルカラーなのでお勧めです。
- 作者: 田中圭一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/01/19
- メディア: 単行本
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