暗い映画館で、映画が始まる前のワクワク感は、何物にも替えがたい。誰かと観に行くのもいいけど、一人で観る方がどちらかいえば好き。
カミさんと付き合い始めたきっかけも映画でした。チャップリンの映画の日本国内上映権が1986年(昭和61年)に切れたことがあって、当時、この最後の特集上映というのに行ったのが始めてのデートでした(今は、2003年に日本ヘラルド映画が国内上映権を再購入しスクリーンでも見ることができます)。お互いに古い映画好きだったのです。ちなみにカミさんが一番好きな映画は「鉄道員」「ひまわり」。ともにイタリア映画。暗い映画比較的好きな私でも、暗すぎます…(^-^;)。
観たのは特集上映作品の中から、「街の灯」「キッド」「ライムライト」。どれも名作です。何回観ても泣いちゃいます。レンタルもされていますので是非観てみてください。
白黒の映画って敬遠する人多いけど、情報量が少ない分、自分の想像力が大切になります。古い映画って、科白も古臭いけど、それがまたよいのですよ。
結局映画って作りものなんです。人の頭で考えたものをたくさんのスタッフで一つのフィルムに定着させる。絵画や小説のような一人の創作者、芸術家によるものではなくて、制作に関わった全ての人の想いがそこに結実する。とんでもない作品もいっぱいあるけど、そんな作品すら愛おしい。映画評論家、水野晴夫さんが「いやぁ〜映画って本当にいいものですね」といってました。淀川長治さんは、とにかくどんな映画も褒めた。その映画にさして褒めるところがなければ、セットの美しさを持ち出した。俳優の表情を褒めて終わりのときもあった。
彼は決して映画を貶すことはなかったのです。淀長さんの名言で、
「私にだって嫌いな人はいます。嫌いな人を見たら、心の中で、好き、好き、好きと言うんです。そうすると好きになれますよ。」
というのがあります。私、これ結構実践してるんです。なかなか淀長さんの域には達しませんけど。
これをカミさんに
「毎日3回、好き・好き・好きって頭の中で唱えていれば好きになってくるからやってみて」
と言ってるんですが、カミさんは、
「あたしは暗示になんかかからない、思ってない事を考えることなどできない」
と冷たい事をいいます(T_T)。
付き合い始めてはや27年、2人も子を成しているというのにこの仕打ち、辛いです…。