日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗」 を読む。


 円谷英明著・講談社現代新書


 著者の円谷英明さんは、円谷プロ創設者で"特撮の神様"でもある円谷英二監督の孫にあたり、第6代円谷プロ社長でもある。この本は、円谷一族によって始祖円谷英二の遺産を守り切れなかった悔恨の話、とでもいえばよいのか。。


 子どもに夢を与え、世の中の不条理を描いて、大人の鑑賞にも充分耐えうる作品を作っていたのは遠い昔。ライバル東映戦隊ものやライダーシリーズとは、かなり水をあけられた感があるウルトラシリーズ。勿論、等身大ヒーローと巨大ヒーローの差での製作費の違いはあるものの、基本的には放漫経営、どんぶり勘定の結果、今の状態になってしまった。

 
 良質なコンテンツをもっていながらそれを生かす事が出来ないのは、経営者の責任。同族経営が悪いとは思わない。円谷一族の場合は、経営と言うよりもクリエイターとしての資質の恵まれていたのかもしれない。だからこそ、東宝傘下の経営者(番頭)をしっかりおいていた時代が最も円谷プロらしくいられた時代だったのかもしれない。


 「ウルトラマンが泣いている」というタイトル。では、泣かしたのは誰かというと、その功罪は円谷一族と言わざるを得ない。現在の筆頭株主は、パチンコ開発会社フィールズグループ(全株式に51%)、残りの49%をバンダイナムコグループが保持している。パチンコ屋の子会社になっていますが、その前は胡散臭い映像制作会社TYOグループであり、いつまた全株式が売られるか判らない。完全に利殖の対象になっている。バンナムが大株主になっているのが救いと言えば救いだけど、かつてのような自由なドラマ作りは期待できず、"おもちゃ"を売る為の宣伝番組の要素が強くなる事は大きな問題。おもちゃの売上が即ドラマの中身に影響が出てくるのは、「仮面ライダー響鬼」で懲りた。


 円谷プロが、かつてのように社会批判を盛り込み、子供たちに衝撃を与え、私たち世代のように、いつまでもこころに残る物語が作られるような日が来るんだろうか。
 暗澹たる気持ちで、この懺悔録を読みました。

 
 要は円谷プロの内紛を赤裸々に書いた"暴露本"の類い。興味がある人にとっては面白いかも。
 しかし、すこしでも円谷作品に夢をみていた私にとっては哀しい内容でした。