「ばかもの」と一緒に買いました。「ばかもの」に引き続き読む。
この人芥川賞作家だったのね。
薄いと思ったら163頁しかなかった。でも中身はなかなか豊饒な世界が広がってました。
宝くじで3億円当てた河野は会社を辞め、敦賀湾を臨む寒村に居を構えた。お金の心配はしなくていい生活。ゆったりとした時間が流れている。そこへ自称役立たずの神様・ファンタジーがやってきて居候を決め込む。
ある日河野の住む街を訪れた女性・かりんは河野と知り合い、日頃の疲れを癒される。キャリアウーマンのかりんと世捨て人同然の生活を送る河野。更に、河野の昔の同僚女性片桐が河野の元に旅行の途中にやってくる。
3人の不思議な距離感。くっつくでもなく、離れるでもなく。それぞれがそれぞれの問題を抱えて、悩みながら生きている。結局人間って孤独なんだよね。
片桐の次の目的地の新潟に一緒に行くことになった河野とファンタジー。
宿泊先を決めていなかった為、近くのラブホテルに片桐と一夜を共にすることになる河野。
「なにもしないから」
「ん。わかってる。あたしもすぐ眠るから」
「ああ、眠ったほうがいい。疲れただろう」
「誰と一緒に寝るの、久しぶり。すっごい安心する」
「寝るときは一緒でも眠りにおちるときは独りだぞ」
「うん、眠るときと死ぬときは独りなんだ……」
どんなに誰かと近くにいてもやはり人間は一人なんだと思う会話です。
ただ独りだからこそ、誰かの為に生きていくことが、より大切なんじゃないかなと私は思う。貸し借りや損得勘定じゃない人間関係が生きていく上で大切なんだよね。
薄いのですぐ読めます。薄い割には362円と高いけど(^-^;)。文庫本高くなったよね。
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/22
- メディア: 文庫
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