日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

「ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦」

ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦 (文春新書)
太平洋戦争のきっかけとなったと言われるアメリ国務長官からの「日米間協定の提案基礎の概要」通称「ハル・ノート

一、 日米両国はイギリス、支那、日本、オランダ、ソ連、タイとともに多辺的不可侵条約の締結する。
二、 日米両国はアメリカ、イギリス、支那、日本、オランダ、タイ政府間に仏領インドシナ仏印)の領土主権尊重に関する協定を締結する。
三、 日本は支那及び仏印より一切の陸海空兵力及び警察力を撤収させる。
四、 日米両国は重慶政府以外のいかなる政権をも軍事的、政治的、経済的に支持しない。
五、 日米両国は支那における治外法権(租界及び義和団事変議定書に基づく権利を含む)を放棄する。
六、 日米両国は新通商条約締結の交渉に入る。
七、 日米両国は相互に資産凍結令を廃止する。
八、 円ドル為替安定につき協議する。
九、 両国政府が第三国と結んだいかなる協定も、本協定の目的即ち太平洋地域全般の平和と矛盾するが如く解釈されてはならない。
十、 以上の諸原則を他国に勧めてそうするように仕向ける。


 しかし現実はアメリカからの最後通牒ではなく、まだ議論の余地があったということを丁寧に調べた内容。初刊が平成11年なので発刊されて16年経ちますが、初めて知った内容でした。そもそも「支那撤退」に満洲国は含んでいなかったという話も。ここ日本にとってはかなり重要なところ。こんなところを確認もせず戦争に突入したとは…。
 ルーズベルト大統領は真珠湾攻撃を事前に知っていて戦争のきっかけ、アメリカ国民の国威発揚に使われたという説もあり、日本にとってはその方が心地よい響きを伴うので広く知られつつありますが、いくらなんでも太平洋艦隊の要を囮に使うほど大統領は莫迦じゃないんじゃない?という疑問もあり、そういう意味ではこの「ハル・ノート」日米双方の意図したものと違う受け取られ方、誤解が戦争のきっかけとなったという方が私的には腹に落ちました。

 歴史にIFは無いけど、様々なボタンの掛け違いで、何百万人もの命が消えることになった。戦争は国際間紛争を解決する手段と規定されているけど、やはり基本は外交で問題の解決を図るべき。矛を向けてきた相手に対してに同じように矛を向けたのでは憎しみが拡大していくばかり。そういう意味で専守防衛を旨とする日本の立ち位置は正しい。

 イスラム国を中心とした無法組織とのやりとりについても、喧嘩っ早い欧米の口車に乗って、自分も矛を持つことのないようちゃんと観ていないといけない。
 持つべきは矛ではなく、冷静な判断力、交渉力、それと盾。

ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦 (文春新書)

ハル・ノートを書いた男―日米開戦外交と「雪」作戦 (文春新書)