北森鴻 著・文春文庫
最近貪り読んでいる北森作品。これは銀座に事務所を構えてお店に花を生ける"花師"と凄腕の"絵画修復師"の顔を持つ佐月恭壱が主人公のシリーズ。2冊出ているけど、こちらは2冊目。第1作は「深淵のガランス」まだ未入手です。
肖像画の依頼を受けた恭壱。その報酬は古備前という表題作「虚栄の肖像」。藤田嗣治の未発見の絵画修復を依頼される中、昔の恋人が現われる「葡萄と乳房」そして緊縛画の修復とその無名作家の謎「秘画師遺聞」。それぞれが少しずつ絡み合って行くのは連作の面白いところ。
ミステリーがあんまし得意でない私ですが、北森作品は殺人の謎解きよりも、その周辺の描かれ方がとても興味深い。元々こういう世界の人かと思ったら、すべて取材と解説に有りました。ううむ。本当に惜しい人を失くしました。
私がなんで本が好きかというと、自分と違う世界、人生に触れる事ができるから。なので、フィクションも嫌いではないですが、より良質のノンフィクションが好きだったりします。フィクションであっても自分が経験できないような世界を描いていたりする、現実的な世界であれば、作者が体験した世界、しっかりと取材された世界に触れられるのは読書の醍醐味だと思います。
最近は眼が悪くなり、更に乗り換えの多い通勤電車なので読書量が極端に減っているのは哀しい限りです。あと人生10年ちょっととして、もう1000冊は絶対読めない。そう考えるとちょっとつらい。
残りの北森作品は全部読むぞ〜。
- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09/03
- メディア: 文庫
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