ビアバー・香奈里屋シリーズ4冊目。「花の下にて春死なむ」「桜宵」「螢坂」と続いた香奈里屋での物語も残念ながら今作で完結。作者の北森鴻がいない今、続編が書かれることはない。
連作短編の最後を飾るのは、次の5作。
「ラストマティーニ」
「プレジール」
「背表紙の友」
「終幕の風景」
「香菜里屋を知っていますか」
常連のお客さんが次々と退場していく中、突然店を畳む工藤。そして残された謎は、工藤とはいったい何者か?そして香奈里屋の名前の由来について。最終話の表題作は、工藤がいなくなって1年後、北森作品の主人公たち、雅蘭堂の越名と安積、冬狐堂の宇佐見陶子、そして蓮杖那智と内藤三國まで登場して工藤の謎を掘り下げていく。
東急田園都市線・三軒茶屋駅前の商店街のアーケードをくぐって、通りから1本外れた細い路地の奥、袋小路の手前の左側にある。白い縦長の提灯に、「香菜里屋」と伸びやかな字が書かれている。扉は焼き杉造り。中は、10人程が座れるL字型のカウンターと2人用の小卓が二脚のみ。度数の異なる4種類のビールがあり、マスターによる創作季節料理は、『ビアバーにしておくにはもったいない』と言われるほど絶品である。最も度数の高い12度のビールはロックスタイルで供される。最も低いもので3度、他に5度のラガーなど。工藤はビールの飲み方について、「グラスに注がれたら最後、寸暇を惜しんでグラスを空にする努力が必要である」と述べている。その他、数種類のワールドビール、焼酎などが備えられている。まれに、工藤がシェイカーを振り、カクテルを作ったり、香月からその他の様々な酒を提供してもらうこともある。
昔からバーの常連というのに憧れてますが、なかなか良い店は見つかりません。基本的に外で飲むのは複数であることが多く、一人でしんみりと飲む趣味がないというのも見つからない理由。それと外で飲むのって習慣にするとすごくお金がかかる。お小遣い生活だとそういうのは贅沢なんですよね。
いつかこういうバーの似合う男になりたいものです。
「香奈里屋シリーズ」全4作お勧めです。

- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 文庫
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